映画『踊る大捜査線THEMOVIE2レインボーブリッジを封鎖せよ!』の記者会見に登壇する亀山さん(左・'03年)

「僕でいいんでしょうか? 恋愛ドラマ、本当に得意じゃないんですよ……」

 と恐縮する。フジテレビのプロデューサーとして『あすなろ白書』('93年)、『ロングバケーション』('96年)、『ビーチボーイズ』('97年)、『踊る大捜査線』('97年〜'12年)など、数多の作品を大ヒットに導いた亀山千広さんは、ひとたびドラマづくりの話となると、熱弁が止まらない。

自分の中に“枷”を必ずつくっていた

「大きなウソをつくなら思いっきり。でも、小さなウソだけはつきたくない。ドラマが急につまらなくなるから」

 例えば、『ロンバケ』の瀬名(木村拓哉)と南(山口智子)は、どう見ても美男美女。

「なのに、女は婚約者に逃げられ、男はダサくて彼女がつくれない。大ウソじゃないですか(笑)」

 2人が暮らす部屋の真ん中には、瀬名のグランドピアノが置いてある。普通の外観じゃウソっぽい。ニューヨークにありそうな建物をイメージしたが、東京にあるはずもない……と思いきや、取り壊し直前の建物が見つかる。この奇跡があったから『ロンバケ』はできたと懐かしむ。

「自分の中に“枷(かせ)”を必ずつくっていました。『ロンバケ』は“好きと言わせずに恋愛ドラマは成立するのか”。1度も出てきません。最終回も互いの名前を呼び合うだけ。でも、伝わった」

 定番ジャンルでも、枷をつくることで新風を吹き込み、独自の作品を生み出していった。

「『踊る大捜査線』では、『太陽にほえろ!』('72年〜'86年)でやったことは一切やりませんでした。刑事をあだ名で呼ばない。捜査会議は7人程度で部長の席のまわりでやらず、100人いるところでちゃんとやる……」

 もともと『寺内貫太郎一家』('74年)など、昭和のホームドラマを見て育った世代。ゆえに、

「ファミリーで見られるものをベースに作っていた気がします。若い人が主役でも、絶対に親は出てくる。若い人同士で挙げる結婚式もいいんですが、親には報告はするだろう?…と」

 だから恋愛ドラマの『あすなろ白書』でも、掛井(筒井道隆)の母親の存在を原作以上に押し出した。