「幼少期にブスというコンプレックスを抱いていたので、幼少期の自分みたいな人が読んで前向きになれる。ブスに希望を与えたい! と思って書いた本です」

 本業は税理士だが、ホームページのブログがきっかけで昨年12月、初の著書『ブスのマーケティング戦略』(文響社)を上梓した。

 執筆依頼は2年前。「ブスに勇気を与えるような本」をテーマに作業をすすめていた昨夏、お笑いコンビ、相席スタートの山﨑ケイがエッセイ『ちょうどいいブスのススメ』(主婦の友社)を発売。『ちょうど─』は、1月スタートの連続ドラマ(日本テレビ系『人生が楽しくなる幸せの法則』)になり、その発表が自身の本の発売時期と重なった。

山﨑さんの本が出版されたときは、かぶってしまった~と思いました。でも、ドラマ化の発表のときは、書店に原作本が並ぶだろうから、うっかり私の本も買ってくれる人がいるのではないか、内心しめしめと思っていました」

“ブス本”で競合した山﨑とは対談する機会を得た。

「山﨑さんの本は、自分の本が発売されてから読みました。考え方は、ほぼ同じ。自分を客観的に受け止めて、市場(周囲)に受け入れてもらうにはどうするか、建設的な話。価値観が一緒で、楽しい時間でした」

 山﨑の原作は、ネット炎上を受けて、ドラマ化のタイトルが急きょ変更されニュースになった。

「個人的には、原作のタイトルはものすごくいいと思うので、変えずにドラマにしてほしかったです」

 著書タイトルは、税理士らしくマーケティング戦略と銘打ち硬派だが、内容は実に赤裸々だ。

 コンプレックスをバネに自身の“商品価値”を高めるための学歴や資格取得へのこだわりに加えて、処女喪失、性欲や合コン三昧の日々、男性経験についても綴っている。すべては承認欲求で、結婚、出産で満たされたとも記している。

母親から「かわいい」と育てられていたが、“ブス”と気づいた小学生時代
母親から「かわいい」と育てられていたが、“ブス”と気づいた小学生時代

「ブスを認識した小中学生のときは、早く死にたいと思っていました。いじめられていたわけでもなく、家庭環境に問題があったわけでもないけど、こんな見た目で、ダイエットもすぐ失敗する。何もできない自分に将来、生きていても幸せなことはないと思っていて、早く人生を終えたいと思っていました。

 でも、終えるにしても、ずっとひとりは嫌だな。いつか結婚できたら、いつか子どもが産めたらと思っていたら、それが叶ったので、いまは何の悔いもなくて、人生をやり遂げた感があります」