オガールは、東京ドーム2個分の敷地に広がる。天気のいい日には親子連れでいっぱいに

 地方衰退が叫ばれて久しい。少子高齢化が加速するなか、人口減少が地域経済の縮小を呼び、さらなる人口減少につながるという負のスパイラルから抜け出せない。だが一方で、知恵と工夫を凝らし、特色や魅力を活かして「元気な地方」に変えた人たちもいる。そんな頑張る地方の立役者に会いに行ってきた。

『オガールプロジェクト』で起死回生

「本来、われわれのような地方の建設会社は、行政からの仕事をもらって成り立つのですが、町は税収が減って公共事業をやらなくなった。であれば、金のない行政に仕事を作ってあげたらどうなのか。そういう逆の発想をしたんです」

岡崎正信さんは学生時代からバレーボールに取り組み、現在もアカデミーをつくり指導している

 そう語るのは、公民連携のモデルとして知られる岩手県・紫波町の「オガールプロジェクト」の仕掛け人、岡崎正信さんだ。

 岩手県中部にある紫波町は、食料自給率170%という農業が盛んな土地。隣接する盛岡市のベッドタウンとしても発展してきた。

 一方、高齢化や財政難という多くの地方に共通する課題も。そこで起死回生の策として仕掛けたのが、このプロジェクトだった。

 オガールとは、フランス語で「駅」を意味する「gare」(ガール)と、岩手の方言で「成長」を意味する「おがる」を合わせて名づけられた造語だ。

 '12年にオープンした『オガールプラザ』には、住民の憩いのスペースとなっている図書館のほか、地元産の野菜や加工品が多数そろうマルシェ(市場)などが並ぶ。『オガールセンター』にある『ザ・ベイカー』は、地産地消のベーカリーとして人気。

オガールベースにあるバレーボール専用アリーナ

 ほかにも、日本初のバレーボール専用体育館や宿泊施設を備えた『オガールベース』をはじめ、運動場もあればサッカー場もある。クリニックや子育て支援施設、紫波町庁舎までそろう。

 これらの施設の出現によって、人口わずか3万3800人の町に、いまや年間90万人が訪れるようになった。