記者の人たちがまだこれから記事にする話をここに書くのは本筋から離れるのでその細部には触れませんが、ひとつだけこの問題の核心になるポイントに触れさせていただくと、この問題について運営側が「組織防衛」という観点で後手後手に回っているのには原因があります。

 ひとことで言えば双方に違う言い分があるようで、そのことが「組織防衛」の障害になっているのです。

 事件の関係者や退任した前支配人とのやりとりなどにいわゆる「藪の中」という問題があって、運営側は山口真帆さんの意見に対しておそらく一部反論をしたいと思っている節がある。ところがそのことは組織防衛という観点で言えば完全に目的を見失った、間違った対応で、それもあってAKSは失敗をしているのです。

 この記事の立場をはっきりとさせておくと、この記事ではどちらかの立場に立って事件の細部について何が正しいのかという議論を展開するつもりはありません。

 そうではなく、このまま事態が進行してしまうとAKBグループが組織としてどうなってしまうのか、そのリスクを示したうえで、組織防衛をしたいのであれば(AKBのファンならその組織を守りたいと思うはずですが)AKSが今と違った行動をとったほうがいいという話をしたいと思います。

ここまでのAKSの組織防衛は0点

 組織防衛の観点からここまでのAKSの対応の結果だけを見れば0点に近いものです。振り返ると、

(1)当初、問題が発覚するまで極力その問題が露見しないように前支配人が事件を隠蔽しようとした (2)事件が発覚した後に前支配人を更迭し、第三者委員会に事件を調査させた。しかしその調査自体もきちんと行われていないことがわかったにもかかわらず、なぜか第三者委員会ではなくAKS側が「問題なし」という結論ありきの記者会見を開いた (3)問題は終了したという体をとって、新体制で新スタートすることにした (4)県や市、企業などスポンサーがつぎつぎと撤退を表明した (5)事件の被害者側が卒業する今回の事態が起きた

 という結果です。

 つまり問題は昨年末からずっと続いているのです。それをあたかも問題が終わったかのごとく処理しようとしていることが事態を悪化させています。

 ではなぜ結果が0点の対応をしているのかというと、ここが問題なのですが、プロセスとしてはこの対応は0点とは言えないのです。