あらゆることが初体験だった『ぴあの』の収録現場。いまでも出演者やスタッフたちとは連絡をとり合う“家族”のような関係だという
あらゆることが初体験だった『ぴあの』の収録現場。いまでも出演者やスタッフたちとは連絡をとり合う“家族”のような関係だという
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 みんなに育まれながら夢に向かって自分を“ぴーかぴか”に輝かせていくぴあのと、俳優として成長していく純名とが重なっていくような半年だったという。

「撮影の間、私は“ぴあの”以外の何者でもなかったです。監督からは常にぴあのと呼ばれていましたし、私は、父役の宇津井健さんを“お父ちゃん”、姉役の竹下景子さん、萬田久子さん、国生さゆりさんのことは“お姉ちゃん”と呼んでいました。みなさん、とても可愛がってくださって、いろいろなことを教えてくださいました」

周囲からの絶対的な愛が励みに

 舞台の経験しかなかった彼女は、映像用の演技やメイクの仕方、また美容健康情報まで多くを教わり、毎日が発見の日々だった。

「撮影が進むなかで“きれいになったね”と励ましてくださるとやる気になったものです。萬田さんから“スタッフ、キャスト、全員が全員を愛してくれる現場はここ(朝ドラ)しかないのよ”と、ありがたい教えをくださったのですが、本当にそうでした(笑)」

“働き方改革”など存在しない時代。朝から深夜(26時過ぎ!)まで撮影が続き当時の朝ドラガイド本には「睡眠時間は4〜5時間ほど」と純名は発言している。

でも、ずっと元気でした。どんなときでも愛してもらっているという絶対的な安心感の中で演じられましたから。NHK大阪のそばでひとり暮らしをしながら撮影に臨んでいて、ミナミの街を歩くと、みんな気さくに“ぴあのちゃん”と声をかけてくださり、それも励みになりました。

 ドラマが終わり宝塚に復帰したとき、これまで宝塚を見たことのない方々が見に来てくださったこともうれしかったです。宝塚の客席に男性が増えたんですよ(笑)」

 朝ドラが終わり宝塚に復帰、その1年半後には退団し、芝居や歌など活動の幅を広げていった。

「人生で何か新しいことを始めるたび、『ぴあの』を思い出します」

 前を向いて生きるときのきらめく気持ちは月日を経ても変わらない。

「いつかお母さん役か何かで、朝ドラにもう1度出てみたいです。オファー、お待ちしています(笑)」


《PROFILE》
純名里沙 ◎じゅんな りさ。元宝塚歌劇団花組トップ娘役。現役生徒で『ぴあの』のヒロインを演じ、退団後は舞台やドラマ、映画で活躍。最近は音楽活動を中心に活動

《INFORMATION》
2019年5月26日に東京・渋谷の『JZ Brat SOUND OF TOKYO』でスペシャルライブを開催。詳細は電話:03-5728-0168へ