謎の魚と、千葉ロッテマリーンズの井口資仁監督と、マーくん

 誰が呼んだか『謎の魚』。みなさんは、この『謎の魚』をご存じですか?

 これは2017年に誕生した、千葉ロッテマリーンズの球団キャラクターの名前です。魚といっても“深海魚の王子”、セミの脱皮のように中から違う形が次々と出てきて、5回も変化します。

 通常、球団キャラクターはチームへの応援がメインの役割なのですが、『謎の魚』は、第一形態から第五形態まで変身する、自身の姿を観客が驚き楽しんでくれることこそが、エールなのです。その人気は球場を飛び越え、アメリカやイギリスなど、世界をまたにかけ、「ミステリー・フィッシュ」としてロッテファンのみならず、現在でも謎の注目を集め続けています。

 これまで有名な球団キャラクターといえば、ヤクルトの『つば九郎』、中日の『ドアラ』など、誰もがひと目でわかる動物がユニフォームを着ているのが一般的でした。しかしロッテは、とにかく“謎”の存在にこだわったのです。

 噂には聞いていた筆者も、マリンスタジアムで観戦中、突然、出てきた『謎の魚』と、その変身のプロセスに大喜びの観客を目の当たりにし、なぜこのようなキャラクターが生まれ、なぜこんなにも人気があるのか、“謎”を探りたく、広報に取材をお願いしました。

 そこには意外な事実や苦労秘話がありました。実は球団にとって「キャラクター」は、われわれが想像する以上に、はるかに重要な存在だったのです。

「プロ野球は、ご存じのとおりアスリートのパフォーマンスと人気で成り立っています。しかし、どんなに人気のある選手でも、毎年、いい成績を残せるとは限りません。結果が出せなければ、取材はなし、マスコミに取り上げてももらえない、非常にシビアで不安定な世界です。そこに通年、安定した話題を提供できるキャラクターがいてくれれば、心強いんです」(ロッテ球団広報)

 このような重い任務を背負ったキャラクターだからこそ、制作のコンセプトとしては、単にかわいくて子どもの人気を狙うのではなく、世間の注目を浴びる存在になる、という難しい目標を掲げなければなりません。そして実に4年の構想期間を経て、ついに誕生したのが『謎の魚』というわけです。

 このキャラクタ―のモデル設定は、「マリーンズなので海の生き物にしよう、サメがいい、いや、もう少しかわいいほうがいい、魚にしよう! それなら深海魚の王子だ! とすんなり決まりました」というのは、先のロッテ球団広報。

 そして、このキャラクターにどう話題性をもたせるかが、第一の課題だったのでした。

 それでは、謎の魚出生の内幕話をご紹介しましょう。

 まず、球団サイドの要望は既存のキャラクターにはないキャラクターがほしい。言い換えれば、今までにない強い個性がマストだったと言います。

「当初、しゃべるキャラクターを作る案が出ましたが、それでは個性が弱いと議論の末、 “変形する”、それも1回だけでなく何回も変身していく設定にいきつきました。そして、少しずつ変身していく過程を、段階的に分けて小出しにしながら、時間をかけてマスコミに発表する作戦に決まりました」(ロッテ球団広報)