そして離婚から2年が経ち、澄佳さんと中学1年生の息子、小学2年生の娘は実家を離れ、3人で地元のマンションで暮らしている。

「家賃は10万円で、下町にしては安くはないほうです。でも夫からの定期的な支払い、一人親手当、私のパート代を合わせると、だいたい月に40万円ほどの収入があるので、3人で十分やっていけています。

 結婚していた時代、何を言っても夫にはかなわないと思っていたから、女性問題もお小遣いの少なさにもじっと耐えてきました。そんなストレスから解放されて、あの時代が嘘のように、のびのびと暮らしています。今は、もしかしたら夫のほうが生きづらい状況にあるんじゃないかと。まだ彼女とも再婚していないみたいですし」

元夫の家族に地元の友人達…と、孤独感はなし

 というのも、なんと、澄佳さんはいまだに2人の子どもとともに、夫の故郷への里帰りを欠かしていないというのだ。関西の田舎に1人で暮らす80歳の義母や、夫の兄弟やその家族たちと澄佳さんはとても仲がいい。

「みんないい人たちばかりで、大好きなんです。子どもの従兄弟たちもたくさんいるし。夫は昔から里帰りには乗り気じゃなくて、私が無理に引っ張って帰っていたくらいだったこともあり、今ではまったく実家に寄りつかないみたいですね。夫の親戚は、夫にはもう金輪際関わりたくないと、猛反発されています。夫も彼女もさすがに気まずくて、簡単に再婚というわけにはいかないんじゃないでしょうか…」

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 そしてもう1つ、澄佳さんには“地元の仲間”という心強い味方がいる。澄佳さんの住む町は、都内でも有数のにぎやかな下町だ。地元を愛する人が多く、幼少期からの幼なじみや小さな頃からかわいがってくれたおばさんたちもいまだに同じ町に暮らしている。

「孤独感? まったくないです。近所には気心の知れた友人がたくさん住んでいるし、母子家庭ということもあって、ママ友やその子どもたちも、遠慮せずにうちに出入りしています(笑)。とにかく毎日にぎやか。子どもたちも今では『パパのことはもうどうでもいい、ママがいれば十分』と意思表示をしてくれて、私もホッと安心しています」

 笑顔で終始朗らかに話す澄佳さんだが、いずれ夫からの生活費の振り込みが途絶えることがあれば、「法的措置に出ることも辞さない」と毅然と言い切る。夫の不倫やモラハラに怯えていた頃の澄佳さんはもういないのだろう。

 そして改めて、人と人とのつながりの大切さを感じさせられた。シングル家庭にどうしても付きまとう孤独・孤立。その闇から逃れるためには、周囲からの精神的支えが絶対的に必要となる。澄佳さんが丁寧に培ってきた人間関係が、今、3人となった家庭を明るく照らしている。


波多野 友子(はたの ともこ)◎ライター 日本大学芸術学部写真学科卒。大手テーマパークでオフィシャルフォトグラファーを務めた後、2012年にフリーライターへ転身。執筆は企業オウンドメディア、女性向けメディア、サッカーメディアなど多岐にわたる。育児や女性の働き方に関心を寄せる1児の母でもある。