プロデューサーの“リスク回避策”

 俳優たちの撮った映画はどれもそれなりに話題にはなったが、その多くが興行的には成功とはいえず。『座頭市』やたけし映画などの例外はあるものの、「俳優が監督した映画は失敗する」という認識は世間では根強い。

 たけしの『その男~』についても、映画評論家・山根貞男が著書『日本映画時評1986-1989』(筑摩書房)のなかで、

《有象無象の有名人監督の一人として見くびっていた》

 と述べており、偏見があったことが見て取れる。脚本を務めた野沢尚も、たけしの手によって脚本が書き換えられたことから、その著書『映画館に日本映画があった頃』(キネマ旬報社)で、

《脚本が変えられたのは不満だがよく出来ていた。だが傑作に仕上がったのは偶然》

 と、門外漢の“才能”を認めたくなかったようだ。それなのになぜ、俳優が監督を務める映画は大量にあるのか。

 その理由のひとつはまず、“話題性”だ。派手な広告を打たなくてもメディアが勝手に報道してくれるからコストパフォーマンスがいい。第2に“ファン”。ファンならばお気に入りの俳優が映画を撮ったとなると、やはり見に行きたいところだろう。

 昨今では、これに“SNS”が加わる。先述の池田エライザのTwitterはフォロワー数が102.4万人。それだけの人数が彼女の投稿を見るということで宣伝効果は抜群。ドラマの企画会議でもキャスティングを考える際、最近ではSNSのフォロワー数が多い俳優を優先する傾向もあり、マーケティング的にSNSはかなり重きを占めている。

 プロデュースする側は当然リスクを回避せねばならず、その回避策のひとつとして(結果どうなるかは別として)、フォロワー数の多い人気の“俳優”を利用し、話題にしたがる。