嫁にだって嫁が欲しいわ!

 例えば、忙しくてシーツや枕カバーの交換は今日は無理やったけど「明日」やろう、とか、旅行の写真のネット注文は「来週中」にしよう、とか、クローゼットの整理整頓は「いつか」やろうと思っているけどまだできてない、とか。そういう予約家事もいっぱいあって、できずにたまっているものも多い上に、日々のレギュラー家事をやった側から次々と新たに生まれる家事・育児。

 書き出してリストにしてみたら、通常の家事・育児だけでなんと「211項目」!! 赤ちゃんがいたらこれに「89項目」プラス! 季節もの・イレギュラー家事も「85項目」! なんと全部で400項目近くもあったー! その中から毎日やることは一部だとしても、専業主婦でも一人じゃ大変、ましてや仕事しながらなんて、やってらんない数なんですよ。 

「家事なんか、仕事に比べたら楽勝っしょ」

「いいよなぁ、家のことだけしとけばいいんだから」

 こう思っている夫よ、どうか知ってくれ!

 こっちからしたら、「いいよね、仕事だけしとけばいいんだから」なんですけど!  専業主婦もワーママも経験している私からしたら、仕事だけしてる方がよっぽど楽じゃ! 帰って来たら部屋が綺麗で洗濯されて、黙っててもご飯出てきてお風呂出来てて、しんどそうやったら心配されて、「お仕事お疲れ様」って労ってくれて、「今日も頑張ってね」って励ましてくれて… 正直羨ましすぎるわ!!

 ずっとそんな生活できるんならなぁ、嫁にだって、嫁が欲しいわ!!

 たまに家事が辛くなるのは、誰も見てくれていない時。どれだけ頑張っても誰も褒めてくれない、気づいてもくれない! お金が発生するわけでもないし、休みもない。寝る寸前まで片付けや戸締り確認や子供の布団脱いでないか確認など、なにかとやることはある。

 夫の皆さん、もし、これが仕事だったらどうでしょう?誰も見ていない仕事、気づいてくれない仕事、誰にも評価されない仕事を、無償で、休みなしで、寝る寸前まで一生できる?「当たり前」「楽でいいね」と思われながら、いつもニコニコ機嫌よく、一生できるでしょうか。

 昨年、私が初期の家事リストをブログで公開したところ、ブログページがダウンするほどの反響と、「私、こんなにやってたんだ、頑張ってたんだ、とリストを見ながら涙が出て来ました」という奥様の切実な声や、「これだけやっているってことをもっと知ってもらいたい!」というたくさんの声をいただきました。そうなんです、理想は分担してほしいけど、まずは「知ってほしい」。

 私たち、家事は好きでやってるわけじゃないからね! 中には「家事が好きだから苦じゃない」という人もいるけど、少なくとも私は違う! 最初から得意なわけでもない! 共働きの主婦なんて大半は「あ〜お風呂の掃除めんどくさ〜」とか「ご飯作りたくな〜い」って思いながら、それでもなんとか頑張ってやってるねん! なぜでしょう。

 それは、仕事や学校で疲れた夫や子ども達に、できるだけ清潔で快適な家庭でゆっくり休んでもらいたいし、栄養のある美味しいものを食べてほしいから。

 そう、家事は「愛情」なくしてはできないのです。細かければ細かいほど、それは愛情の証。レトルトや冷凍食品も簡単でいいけど、やっぱり時間をかけて作った手作り弁当には愛情が多めに入っております。細かい掃除や家事も愛情です。そこに気づいてくれたら。たまには手を貸してくれたら。たまには褒めてくれたら、嬉しいな。

 そして、田端氏には、日々の家事を1時間で終わらせるコツを書いた本をぜひぜひ出してほしい! 私、絶対買う!!


プロフィール

野々村友紀子(ののむら・ゆきこ)                      1974年8月5日生まれ。大阪府出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属の芸人、2丁拳銃・修士の嫁。 芸人として活動後、放送作家へ転身。現在はバラエティ番組の企画構成に加え、 吉本総合芸能学院(NSC)の講師、アニメやゲームのシナリオ制作など多方面で活躍中。“主婦から共感の声続出!”211項目を数える家事リストを掲載した新刊『夫が知らない家事リスト』(双葉社)が絶賛発売中!」