洋服にバッグ、コスメにシューズ……シーズンごとに街にあふれる新作を前に目移りしては、衝動買いでムダ遣いしたり、何を選ぶか決めかねてヘトヘトになったり。買い物で、こんな経験をしたことはありませんか?

 名門ブランド・GUCCIの元店長として、顧客獲得数ナンバーワンを持続させた経験のある横田真由子さんは、「モノ選びには“上質なものを少しだけ”=“ミニマムリッチ”の精神が大切」と言います。VIP客のモノ選びを目にするなかで女性としての優雅な生き方を学び、現在はライフスタイルコンサルタントとして活躍する横田さんに、後悔しない買い物をするための秘訣を伺いました。 

◆  ◆  ◆

選択肢を絞っていくこと

 日々の暮らしは決断の連続です。

「今日、何を着ていくか?」「ランチに何を食べるか?」といった小さな選択から、人生を左右するような重大な選択まで、多くの決断に神経をすり減らす毎日です。

 情報もモノもあふれている昨今、選択肢が膨大であればあるほど、私たちは疲弊していきます。「これしかない」と言われるほうが、ラクなのかもしれません。

 昔、洋服を買おうと倉庫のように広いお店に入ったとき、色とりどりのフリースが天井までぎっしり並べられた棚の前で、途方に暮れたことがあります。選ぶ楽しみよりも疲労感のほうが大きく、結局、何も買わずに立ち去りました。この中から1着を選ぶことは、永遠に不可能のような気がしたからです。

 今なら間違いなく、定番の白か黒、もしくはネイビーの商品を選ぶので迷うことはありませんが、当時は「新色のほうが新鮮かな?」「たまには違う色がいいかな?」と、心が揺れるばかりでした。

 この経験から、自分が販売員をしていたときも、お客様は種類があればあるほど迷われて、買わずに立ち去るだろうと思っていました。

 そこで、気をつけていたことがあります。

 どのようなシーンでどんなふうに使いたいのか、ご希望やニーズをお聞きして、商品を3つまでに絞って差しあげることです。そして、それぞれのメリット、デメリットを的確にお伝えすると、自然と選んでいただけました。

 ですから、買い物をする際に大切なことは、例えば「◯◯なシーンで」「こんな使い方をしたい」「こういったものと合わせたい」ということを、あらかじめイメージしておき選択肢を絞っていくことです。