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回復に必要な2つのことは?

「社会的ひきこもり」に注目した精神科医の斎藤環・筑波大学大学院教授は、いじめ後遺症について1990年代から意識していた。

「ひきこもっている人の中に、中高のいじめが起点でずっと苦しんでいる人がいました。彼らには、自分の意思に関係なくつらい体験を思い出したり、不眠やイライラするなどの興奮状態になるといった、明らかにトラウマの影響と思われる症状が出ていました。対人恐怖症もある。トラウマは生命の危機を感じる場面で形成されると言われています。いじめは被害者にとっては死活問題、危機的な場面です」

 いじめに遭っても、後遺症となるのを防ぐ方法はある。

「いじめが起きた直後の段階で学校がきちんとした対応をすることです。学校が守ってくれなくても、家族は味方という姿勢は必要です。ひきこもりが長期化すると、恨みは家族にしか向かいません」

斎藤環教授は、新たに良好な人間関係を築くことで回復可能と指摘
【写真】苦しさを滲ませながらも未来を生きようとする被害者の女性

 回復には何が必要か?

「1つは謝罪です。加害者が被害者に謝罪をする。2つ目に処罰。ケガをした場合は刑事事件とし、警察関与を要請すべきです。“処罰ではなく指導”ではダメ。最後に、被害に遭った当事者が納得できるかどうかが重要です」

“いじめられるほうにも問題がある”といった被害者へのバッシングはいまだに絶えない。周囲の支えはもちろん、いじめや後遺症への社会の理解が求められている。