「お父さんが逮捕された日、タツヤ君は働いている渋谷のバーでイベントをやっていました。お父さんのことをネタにして盛り上がっているかと思ったら、バーのスタッフは“今日は、そういう感じじゃないんだよ”って話していた。30本以上のシャンパンを開けて、飲み明かしていたようです」(バー近くの飲食店店員)

 “タツヤ君”というのは、今回の薬物事案で5回目の逮捕となった田代まさし容疑者(63)の息子のこと。彼は'17年に自身のツイッターで《ウチの父親は最高に今頑張ってて素晴らしいよ》などと投稿していたのだが……。

 11月6日、覚せい剤取締法違反の疑いで現行犯逮捕された田代。8日に送検された。

 田代はこれまで2度の実刑判決を受け服役。'14年7月に出所してからは、薬物依存回復施設『ダルク』で職員として働いていた。

講演や書籍の執筆などの啓発活動をするなかで、絶縁状態だった家族とも関係を修復していました。バンド活動をする息子のタツヤとは、一緒にDJイベントをやったりもしていた」(スポーツ紙記者)

薬物依存症患者の家族が語る“苦しみ”

 出所して5年を経た田代も、薬物をやめることはできなかった。何度断とうとしても、やっぱりやめることができないのが薬物の恐ろしさだが、それに振り回されるのは、本人だけではない。

本人のことは支援や治療の場に委ね、ご家族には自分の生活を大切にしてほしい

 そう話すのは、高木恵さん(70代、仮名)。薬物依存症の息子をもつ。

 恵さんの長男(48)が33歳のとき、薬物使用が発覚した。

「息子の部屋で注射器を見つけ、薬を使っていたんだ……と身体の力が抜けました。警察に行けば逮捕される。どうしたらと、すごく悩みました」

『ダルク』へ入所したが、2年で行方不明に。3年後に届いた手紙で行方が知れた。

「それ以降、盆や年の暮れには帰って来るようになりましたが、仕事をしていてもいつもお金がなくて、生活が安定しない。結果として'11年に警察から“息子さんを逮捕した”との連絡を受けました」

 執行猶予付きの有罪判決が下ったが、'13年に2度目の逮捕で1年半ほど収監された。現在は出所し、再び『ダルク』へ入所しているという。

「今がいちばん安定した状態だと思います。5月に会ったときも本当にいい顔をしていました。ただ、依存症は病気です。また手を出してしまう可能性は消えません

 親子で向き合い続けて15年の時が流れたが、恵さんはこれまでの苦しみを吐露する。

長男だからと厳しく接し本人を認めてあげる機会が少なかったこと、陰湿ないじめを受けていた彼のつらさに気づけなかったことなど、自分を責めてきました。家族会を通して少しずつ前向きに考えられるようにはなりましたが、その気持ちは今も心の中に抱えています

 家族を苦しませてしまうのも薬物なのだ。