スマホを知るために子どもと一緒に使う

 鈴木さんがアドバイスするのは、まずは子どもの利用率が高い、アプリをお試しで使い、用語に慣れることだといいます。

 「この先、ネットがなくなることはないでしょう」と鈴木さん。高校生になると、スマホを使う授業が登場することもあり、スマホを「危ないから」と遠ざけるだけでは、子どもは守れません。

 使いすぎと怒るばかりではなく、子どもにLINE、Twitter、Instagramなど「お母さんにもやり方を教えて」と声をかけてみましょう。子どものアカウントをフォローすれば、SNS上の行動もそれとなくわかります。

 さらに、スマホの利用にあたっては、「パスコードを親が管理する」「スマホの利用時間は○時まで」「知らない人にLINEアカウントを教えない」「個人情報がわかる動画、画像をアップしない」「人を傷つけるような言葉は使わない」など、ルールを決めましょう。

 なぜルールが必要なのかということや、ルールを破った際のペナルティについても話し合っておきましょう。子どもが安全にスマホを使いこなせるようになるには、親の見守りが欠かせません。

SNSで犯罪に巻き込まれる子どもたち

 '19年11月に発生した大阪の小6女児誘拐事件。容疑者と女児の出会いがTwitterだったこと、また女児が保護されたのが、大阪から400キロ以上離れた栃木であったことから、世間に大きな衝撃を与えました。

 ネット上の危険を裏づけるように、小学4年生から高校生までの子どもへの調査で、53%が「ネットで知り合った実際の友達と会ってみたい、または会ったことがある」と答えたというデータも(2019年5月、デジタルアーツ調べ)。

 なぜ子どもたちは知らない人に会うのでしょうか。「中高生ぐらいになると、本人は大人気分ですが、まだまだ子どもという危うさがあります」と鈴木さん。周りにいるのは親も含めていい大人だけ。

 そのため、大人が危害を加えたり、性的対象に見たりするとは思ってもみないのではと指摘します。子どもを誘い出したい大人は、その無防備さにつけ入ります。ときには、「好きなアーティストのグッズやチケットがあるよ」と声をかけてくる場合も。悩みがある子どもに対しては話をよく聞く優しい大人を演じます。

「そうするうちに、子どもたちは『いい人、友達』と思うようになります」(鈴木さん)。

 オンライン上では同世代の子どもなどと素性を偽ることも簡単です。「文字のやりとりは後に残りますが、SNSを入り口に、LINEの音声通話などに移ると痕跡が残らないことにも注意してください」(鈴木さん)。

 SNSで目立つのが、自分の裸の画像を送るよう強要される「自画撮り被害」。言葉巧みに子どもに近づき、信用したところで写真を送らせます。親からしたら、なぜ知らない人にそんな画像を送るのか? と疑問しか残らなくても、SNS上で知り合った大人の巧みな脅しに逆らえなくなってしまうのです。