海老蔵の優れた“先見の明”

 前述のとおり、5月には海老蔵が十三代目市川團十郎白猿の襲名を控えている。右團次も2017年に右近から右團次を襲名したが、そのときに大きく関わっていたのが実は海老蔵だった。

「最初に“市川宗家に市川右團次という名前があります”とお話を持ってきてくださったのが海老蔵さんでした。最終的に師匠(二代目市川猿翁)に許しをいただいたとき、海老蔵さんは自分のことのように喜んでくださいましたね」

 そのときかけられた海老蔵からの言葉が忘れられないと話す。

市川右團次 撮影/近藤陽介
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「一刻も早く右團次になって、そして一刻も早くそのお名前をタケルくん(右團次の長男で現・右近・9歳)に継がせてください、と。

 それはどういうことかというと、(海老蔵の長男である)勸玄くんが大人になったときに、“右團次がいる”ということまで考えているということ。海老蔵さんは自分たちの時代だけでなく、将来のビジョンまでしっかり見据えてらっしゃる。市川家の発展=歌舞伎の発展にもつながるわけですから」

 その言葉もあり、“いずれは倅に名前を継いでもらえたら”と右團次。その右近くんは3歳くらいから役者になりたいと口にするようになったとか。

「親としては、安心しましたよ(笑)。やっぱりお稽古は大変ですし、好きじゃないとできない。でも幸いにもうちの倅はとても歌舞伎が好きで、お稽古も率先してやりたがる。ありがたい限りです」