拍車をかけた悩みの告白

 さらに大きかったのは、ある悩みの告白である。彼女はひどい便秘体質らしく、それを健康系バラエティー番組などで明かしてきた。医者には「便秘で死ぬかもしれない」と警告されるほど深刻なようだが、これが同じ悩みを持つ女性の共感を生んだりする。

 そればかりか、裏表なく本音で生きている人女の敵タイプではない人だと思わせることにもつながったのだ。

 ここ数年は、便秘薬のCMにも出演中。前出の細川が長年、入浴剤のCMに出て、巨乳グラドル系らしい色気をふりまき続けていたのとは対照的だ。

 ただ、細川の場合、グラドルとして成功しすぎたことが足枷(あしかせ)となったともいえる。小池はそれほどでもなかった。井川遥ら癒し系グラドルの全盛期に、彼女は「威圧系」などと呼ばれ、個性派という位置づけだったのだ。

 1月10日放送の『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)では田中みな実らとのトークのなかで、写真集をまた出す気はあるのかと聞かれ、

出さないですね。最後のサイン会、ファンの人、5人だったんで

 と自虐しネタに昇華させていた。本人は需要があれば続けるつもりだったというが、需要が下火になったことも思いきった路線変更を可能にしたのだろう。つまり、彼女は「巨乳」を隠したというより、それを見せない仕事のほうがもっと向いていたわけだ。

 男性に媚びるイメージが希薄だからか、ジャニーズアイドルとの共演も多い。前出の生田以外にも、大野智や加藤シゲアキの主演ドラマをアシストしてきた。

 私生活では、'07年にプロレスラーの坂田亘と結婚。夫と一緒にリングに上がったこともあり、それこそ『義経』で演じた巴のようだ。最近は「玉の輿」感よりも自分でバリバリ稼いでいるという印象で、働く女性からも親しまれている。

 グラビアアイドルから演技派女優へ見事に転身し、バラエティー番組ではコメント力も発揮、さらには同性からの好感度も高い小池栄子。「巨乳」だけでなく「色気」も隠すことで、今のポジションを得た彼女は、今後も活躍していくだろう。

PROFILE
●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。