しかし、2015年に野村被告は富山市で強盗致傷事件を起こしてしまう。市内の公園で男性に殴る蹴るなどの暴行を加えて、現金を強奪。地元の大工とともに逮捕され、執行猶予つきの判決が言い渡されていた。

“使いっ走り”だったと思う

 今回の事件は、その猶予中の犯行と見られるが、そこまで困窮していたのだろうか。

「私にはトシキが金に困っていたようには見えなかったんやけど、ほかの仲間には“金がない、金がない”とこぼしとったようです。もしかしたら、富山も今回の事件と同じで、金のある人を狙っていたのかも」(同)

 これまでの報道によれば、被害者の小川さんと野村容疑者らは面識のない間柄と伝えられていたが知人は、

「私が直接、聞いたわけではないんやけど、どうやら仲間には“一度、青梅市には下見に行っていた。被害者とも一度、会って話をしている”と話しとったようです」

 と下調べをしたうえでの計画的な犯行だった可能性があると指摘して、こう続ける。

「遠方まで出かけていって強盗するというやり方ですが、彼はまだ若いので、いわば“使いっ走り”だったと思う。誰かもっと悪い連中がバックにいて、その連中が指示して、トシキみたいな下っ端のやつを実行犯として雇ったという手口やないかと思う」

 確かに、野村被告とハン被告は実行役で、今回捕まった橘容疑者は監視役、簗瀬容疑者は車の運手役を務めていたとされ、さらに情報提供者がいるとの説もある。

「最初は物盗りに入ったんやけど、金を見つけられなくて、被害者に顔を見られて逃げてきた。そうしたら、“それはマズい。もう一度、引き返して殺してこいよ”と上の人に命令された。それを断り切れないで、トシキはやったんじゃないか」

 そう言ってまでかばう仲間のためにも、野村被告は裁判で事件の真相を明らかにして、罪を償う必要がある。殺意がなかったとしても、人を殺(あや)めたことに変わりはないはずだ。