帰宅した母親はわが子の変わり果てた姿にどれほど驚いたか。警察に出頭したのは父親で、ここ半年ほど病気療養のため休職中だった。病気や家族の将来を悲観して犯行におよんだというが、近隣住民は“やさしいパパ”とのギャップに首をかしげて─。
進学校から大手総合小売企業に就職したエリート
群馬県伊勢崎市田中島町の自宅で亡くなっていたのは小学1年の長女・井上明莉さん(6)と保育園に通う長男・柊利くん(3)。
7月5日午後8時ごろ帰宅した母親(38)が「子どもが倒れている」と119番通報したが、救急隊員や警察官が駆けつけたその場で死亡が確認された。
「明莉ちゃんは4月から小学生になり、ちょっとだけお姉さんっぽくなったかな。真新しい水色のランドセルを背負って、いつも元気で笑顔のかわいい子でした」
と知人女性は言葉少な。明莉さんを殺害したとして県警が逮捕したのは、実の父親で会社員の井上敏典容疑者(42)だ。
「車で自宅近くにいたところ、サイレンの音が迫るのを聞いて出頭を決意したといいます。自ら警察署に車で乗りつけて“長女と長男の首をネクタイなどで絞めて殺しました”と話しました。今年1月ごろから病気療養のため休職しており、“自分の健康状態や家族の将来を悲観しました”と話すなど、収入面を含めて悩みを抱えていたようです」(全国紙社会部記者)
2児は窒息死だった。長男の殺害容疑でも調べる方針で、自傷など心中を図った痕跡はなかった。一家は4人暮らし。同じ敷地内に祖父母宅がある。
「敏典容疑者は頭がよく、進学校から大学へと進んで大手総合小売企業に就職したエリートです。地元住民に長く親しまれた店舗で30代の若さで店長を務め、数年前に建物の老朽化により閉店が決まると、“最後の日”には大勢の買い物客らを前に挨拶に立ちました」(知人男性)
閉店を惜しむ客はドアを閉めたあとも帰ろうとせず、敏典容疑者は再び姿を見せて感謝を伝えると「帰り道はくれぐれもお気をつけくださいませ」などと客を気遣ったという。同店の常連客だった女性が振り返る。
「店長としてシャツとスラックスのパリッとした姿で食料品売り場などを頻繁に見回っていました。まじめな仕事ぶりでしたよ」
自宅前には色とりどりの花やビスケット菓子、炭酸ジュースなどが供えられ、子どもが好きそうなキャラクターのグッズも交じる。
「祖父は地元の公民館で囲碁を教えていますし、祖母も立派な経歴でいずれも人格者です。敏典さんも家庭を持って順風満帆そうでした。今年2月ごろ、近所の公園で子ども2人と仲良く遊んでいましたよ。長女がすべり台で“おすべり”するのを補助したり、ブランコをこぐ背中を押したりと楽しそうでした。子どもは父親に懐いていたし、悩みがあるようには見えませんでした」(近所の80代女性)
休職期間中でもあり、表情と心情は異なっていたとも考えられる。容疑者を昔から知る人は、ここ数年の変化を気にしていた。
「数年前から相当ふくよかになりました。最近は病気で余裕がなくなったのか、服装や髪形など身だしなみに気を使わなくなりましたね。おとなしいタイプなので不安を吐き出せなかったのでしょうか」
現場周辺を歩いていると、容疑者宅の敷地内に停車した車から、祖母とみられる白いチューリップハットをかぶった女性が降りてきた。「すみません」と声をかけたが、一瞬振り向いた後、足早に自宅に駆け込んでしまった。


















