移住して6年、子どもたちとの時間

 ADHDをはじめ社会問題に鋭く切り込むコメントでも注目を集める小島さん。

 昨年、電車の中で泣く赤ちゃんに腹を立てた人の『泣きやませる努力が足りない』という母親を責めるツイートを見つけた際には、《生き物だから思い通りにならないのですよ。それよりあなたの幼稚な『ママは完璧』幻想を捨てる努力をしたらどうでしょうか》と異論を唱え、全国のママの共感を呼んだ。

 移住して6年。パースで小島夫妻と親しくしている彫刻家の高橋祐子さんは、「母/慶子」の素顔を知る友人のひとりだ。

「まず何よりも子どもたちに話しかける際の声のトーン、スピード、そして向ける眼差しが大人と話すときとはだいぶ違います。子どもたちが学校の話や友人の話などをしているとき、慶子さんの子どもたちを見つめる目はとても穏やかな優しい母親の目で、“それからどうしたの?”“そのときどう思った?”など、話の先を促す慶子さんは、子どもたちが一緒だと見られる姿ですね

 ビーチで急に走り出した子どもたちを全力疾走で追いかける姿、高いところによじ登ってなかなか下りてこない次男を優しい声で厳しく諭す姿、子どもたちに話しかけすぎて「ママ少し黙って!」と言われ、少し恥ずかしそうにする姿などは普段見ることができない貴重な一面だという。

「嘘やごまかしのない人。勝ち気で頑固で涙もろくて心配性。でも子どもたちに向ける目はびっくりするほどやさしく、深い愛情を感じますね」

 オーストラリアの新学期は、2月である。移住当時、小6と小3だった長男と次男は、高校3年と中学3年生になる。

「彼らは、慣れたというよりこちらの生活に溶け込んで、当たり前のように暮らしていますよ」と小島さんは笑う。

 渡豪1年のときには公立校に併設されたIEC(Intensive English Centre)という英語を母国語としない子たちのコースに通わせた。

「非英語圏から転校してきた子どもたちだけを集めたコースで、1年間から1年半かけて、現地校に編入するのに必要なだけの『英語で勉強する勉強』を集中的に教えてくれるんです。そこに最初に入り、世界35か国から来た英語が喋れない子どもたちと一緒に勉強を始めたので、言葉のコンプレックスもなく育ちました」

2018年、家族で出かけたマーガレットリバーにて
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 長男にとって大きな変化は、英語を話せるようになったのはもちろん、17歳という大人の入り口に立ったことだ。

「人間関係などいろいろなことに自信がつきました。パースはフレンドリーな街。さまざまな文化や人種が共生していて、安全で住みやすい。来たばかりのときは、海に飛び込んで遊ぶなんて何が面白いんだろうと思っていましたが、今では積極的に自然と親しむようになりました」