「7年間という長期政権で安倍さんは権力を持ちすぎてしまった。安倍さんを守るために官僚も大臣も平気で嘘をつき、国民ではなく安倍さんのための政治になっている」

 山井和則衆院議員は第2次安倍政権をそう批判する。

 通算すると歴代最長の長期政権となり、権力を恐れる周囲は“忖度”をしていく。その様子を“まるで戦前の日本だ”と評する人もいるが、この異常な状況はいつから始まったのか。アベノミクスならぬ“安倍の愚策”を振り返る。

次から次へと政策の看板をかけ替える

「安倍さんは20年にわたるデフレからの脱却を至上命題として掲げ、これを実現するために“金融緩和”“財政出動”“成長戦略”という三本の矢を打ち出しました。株価が上昇して一見、成功しているように見えたアベノミクスですが、実際はそんなことはありません。株価対策として年金資金が80兆円以上も使われているのです」

 と、ジャーナリストの須田慎一郎さんがアベノミクス成功の目くらましを解説。続けて、こう批判する。

「安倍さん同様に長期政権だった小泉(純一郎)さんは、5年半の任期中に郵政改革を、中曽根(康弘)さんは5年で国鉄民営化、佐藤栄作さんは7年半で沖縄返還を実現しました。政策のよい悪いは置いておいて、実際に掲げた目標はそれぞれ達成しています。じゃあ、安倍さんは何をしたの? というと標語を発表するばかりで、達成できたのか検証もないまま次から次へと政策の看板をかけ替えている

 これまで安倍首相が掲げた標語は、

《デフレ脱却/三本の矢/女性活躍/地方創生/一億総活躍/働き方改革/人生100年構想/人づくり革命》

 などといったもの。

「どれも聞きざわりのよい言葉ですが、例えば“人生100年構想”は定年を70歳まで延長して、さらに年金の普及を遅らせる狙いがあります。

 “働き方改革”は電通の新入社員だった女性が長時間労働で自殺した事件や過労死が取りざたされ急きょでてきたスローガンです。長時間労働の是正や非正規社員の待遇改善がなされるのかと思いきや、現場企業を混乱させただけで9割の企業が働き方改革に成功していない(クロスリバー調べ)と答えています」(政治評論家の有馬晴海さん)