米などの穀物が腸活のキーに

「昔の日本人は、食物繊維が豊富な食生活でした。しかし、食の欧米化が進み、食物繊維の摂取量が減り、腸内細菌叢が悪くなり大腸がんが増えたことは明らかです

 食物繊維の摂取量は、1955年と比較すると約3割減少。なかでも穀物による食物繊維は約7割も減少している。

「日本人ほど、劇的に食生活が変わった民族はいないと思います。日本古来の食事が実は、大腸がんの予防に役立っていたのです。日本人の遺伝子は、和食を食べることで健康が保たれるようになっています。あと数千年、数万年たてば日本人の遺伝子も変わるかもしれませんが、今を生きる私たちには和食が身体に合っているのです」

「日本人の食事摂取基準」(厚労省)では、食物繊維1日あたりの摂取目標量は、18歳〜64歳の男性21g以上、女性18g以上。だが実際の摂取量は、男性平均14・6g、女性平均14・3gと足りていない。

「欧米では成人の1日の目安量が24g以上です。日本で欧米並みの基準に届かないのは、食生活の実態から、高い目標をかかげても実現できないため、現実的な目標量にしているということもあります」

日本人の食物繊維摂取量の変化 グラフィック/スヤマミヅホ
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 食物繊維のなかでも不足しているのが穀物。ダイエットの“敵”糖質のイメージもあるが、腸活のキーとなる存在として注目されている。

「精白されていない米や麦など穀物に含まれる食物繊維が、善玉菌を増やす働きをすることがわかっています」

 食物繊維の新常識が、腸内環境をパワーアップし、効果的な腸活につながっていく。

(取材・文/山崎ますみ)


青江誠一郎先生 ◎大妻女子大学家政学部食物学科教授。日本食物繊維学会理事長。千葉大学大学院自然科学研究科博士課程修了。雪印乳業技術研究所を経て、2003年に大妻女子大学家政学部助教授に就任。大麦の食物繊維とメタボリックシンドローム予防に関する研究で同学会賞を受賞。

内藤裕二先生 ◎京都府立医科大学消化器内科学教室准教授。同附属病院内視鏡・超音波診療部部長。消化器病学の専門家として最先端の研究を行う傍ら、臨床の場で30年以上にわたり5万人以上を診察した経験がある。長寿腸内菌として知られるようになった「酪酸菌」研究の第一人者。