米国で大腸がんの死亡が減ったワケ

 日本では大腸がんが増え続けているが、米国では減少傾向にあるという。日本の和食は健康食で、米国の食事はジャンクフードが多いようなイメージだが、米国のほうが少ないのはなぜか。その理由は、内視鏡検査の実施率の高さ。日本で主流の検便より、効果的だという。

「州によって異なりますが、5~10年ごとの内視鏡検査が法律で義務づけられています。この法律が施行されてから、大腸がんによる死亡が激減したのです。内視鏡で早期に大腸がんを発見し病巣を切除すれば、生存率がぐっと上がることがわかっています」

 検査の期間は5~10年ごとで十分だとか。

「毎年検査を受けたがる人もいますが、大腸がんを発病した人でも2~3年ごとで十分です。それよりも多くの人に検査を受けてほしいと思っています。内視鏡検査に抵抗がある人は、CT画像からAIを使った大腸解析ソフトで、内視鏡検査に近い画像が得られるコロノグラフィー検査(保険適用外)というのもあります。

 大腸がんリスクのスコア表で4点以上の方は、迷わず内視鏡検査を受けてください」

食物繊維は大腸がんを抑制

 食生活の改善も欠かせない。

「大腸がんの原因となる腸内細菌もわかってきて近年、続々と研究結果が報告されています」

 大腸がんの原因となる腸内細菌とは、硫化水素、アンモニアなど発がんにかかわる物質を出す、いわゆる悪玉菌。

 悪玉菌が好む食品は、肉や高脂肪食といわれているが、

「米国の研究で、硫化水素を出すビオフィラ属は、加工肉と一部のダイエット飲料を多く摂取する人に多いと報告されています」

 反対に大腸がんを抑制する食生活もわかっている。

食物繊維を多くとるほど大腸がんの再発が少ないという研究結果が報告されています」

 食物繊維が大腸がんを予防するという疫学研究は難しく、再発の抑制から読み取るしかないそうだ。また、

「大腸がんだけでなく、食物繊維が多い食生活を行っている人は、すべての病気の死亡率が低いということもわかっています」