腸内発酵とは身体にいい物質

 発酵性食物繊維がなぜ、すぐれた腸活になるのか、それを説明する前に、まずは発酵について知っておこう。

 発酵とは細菌のような微生物が、有機物をエサにして分解し、生きるためのエネルギーを得ること。そして、その発酵作用によって、代謝物質がつくられるのだ。

「発酵というと“腐る”というイメージを待つ人がいますが、発酵と腐敗は全く違います。両方とも細菌が有機物を分解することですが、発酵は人間の身体にいい物質をつくること、腐敗は身体に害のある物質をつくりだすことです」(青江先生、以下同)

 人間の腸の中で発酵が起こることが腸内発酵。

「善玉菌は食物繊維をエサにして発酵し、身体にいい物質、乳酸や酪酸、酢酸、プロピオン酸などをつくります」

 ヨーグルトで知られる乳酸菌は、発酵によって乳酸を出すので、乳酸菌というのだ。

「一方、悪玉菌は腐敗を起こして、身体に害のある物質、硫化水素やアンモニア、クレゾールなど発がん性がある身体へ悪影響を及ぼす物質をつくります」

 では、悪玉菌のエサは何か。

「動物性食品です。食物繊維が少なく、動物性食品が多い人は大腸がんのリスクが高いことがわかっています

 近年、発酵でつくられる代謝産物の働きが注目されている。

 特に話題となっているのが“酪酸(らくさん)”。酪酸を産生する善玉菌を酪酸菌といい、最近の腸活は、酪酸菌を増やすことが大切だといわれている。

 前出の内藤先生によると、

「酪酸は大腸の粘膜の上皮細胞のエネルギーとなり、腸を活発に動かしてくれます。実は、大腸の上皮細胞のエネルギーのほとんどは酪酸だといわれています。さらに、上皮細胞が活発に動くことで酸素を消費し、酸素が嫌いな酪酸菌が増え、悪玉菌の繁殖を防ぎます」

 そして、

「酪酸菌は腸内を弱酸性にして、善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌がすみやすい環境をつくります。善玉菌どうしが助け合っているのです」

 また、青江先生は、

「酪酸菌を含む短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)が腸内に多い母親から生まれた子どもは、メタボにならない、という研究結果があります」


《酪酸の働き》
●善玉菌がすみやすい環境をつくる
●水分吸収の促進
●腸の動きをよくする
●がん化細胞の増殖抑制
●便秘の改善
●アレルギーの抑制
●潰瘍性大腸炎の抑制
●肥満の予防