【原則4】
収入の範囲で暮らす生活スタイル

Q.家賃が払えるか心配です

 家が賃貸の場合、家賃は生活費の大きな部分を占める年金で払い続けられるか心配なら、まずは公的制度を調べてみよう。

「申請してもらえるお金は待っているだけでは受け取れません。自分から積極的に探すことです」(井戸さん)

 申請先が市区町村の自治体であったり、健康保険組合だったり、ハローワークだったりと、ばらばらでわかりにくいが、自治体のホームページ・広報誌や助成金情報などをまとめたサイトやアプリで確認すること。

 住宅関係の助成金も、申請すると認められやすい。自分の家のことだから、自分で何とかしようと考えがちだが、階段に手すりをつけるのも介護保険認定を受けると18万円ですむこともある。

 今だとコロナ禍で家賃が払えない人に助成金が出る。制度は使ってこそ意味がある。遠慮は無用だ。

「東京都の場合は、都民住宅と呼ばれますが、特定優良賃貸住宅は良質なファミリー向け住宅に家賃援助をしてくれます。今すぐ使わなくても、いろいろあるということを頭に入れておいて、本当に必要になったときに申請すればいい」(井戸さん)

Q.安い費用で余暇を楽しむには?

「シルバー世代って、お金をかけずに遊べるんです。けっこうリッチに楽しんでいる人が多いと思います」(井戸さん)

 鉄道もJR東日本の『大人の休日倶楽部』の会員なら割引になったり、アミューズメントパークもシニア割引がある。美術館などもシニアは入館料が無料になるサービスがある。公営のプールやスポーツジムも年金家計に優しいし、健康な身体づくりにも役に立って一石二鳥というわけだ

【届け出てもらおう! 住居編】
家が老朽化、家賃がピンチ! そんなとき頼れる給付金

●住宅リフォーム助成金 トクするお金:10万円(埼玉県戸田市の例) 届け出先:市区町村

 築年数がたてば、住宅もあちこち不具合が出てきたり、暮らしに合わなくなってリフォームが必要になってくる。そこで多くの自治体ではマイホームのリフォームに費用の一部を助成する制度を設けている。例えば、埼玉県戸田市、千葉県市川市は10万円を上限として助成。

●介護保険住宅改修費 トクするお金:上限20万円 届け出先:市区町村

 お風呂場やトイレに手すりを取り付けたり、段差の解消など、介護のために住宅の改修にかかった費用の一部が支給される。もらえるのは介護認定を受けている人で、改修についてはケアマネージャーなどに相談し確認を。工事は自治体と契約している業者が竣工する。

●特定優良賃貸住宅 トクするお金:家賃の一部補助 届け出先:市区町村

 国の基準を満たす良質なファミリー向け住宅に対して、約20年間は家賃補助が出る。しかも礼金、更新料もかからないというメリットも。東京都では「都民住宅」と呼ばれるなど、自治体によって名称が異なる。なんといっても家賃が安いのがいい。

●住居確保給付金 トクするお金:家賃相当額×9か月 届け出先:市区町村

 経済的に困窮して住居を失った、あるいは失いそうになっている人に支給。最初は失業者向けであったが、現在はコロナ禍で収入が落ち込んだ人も対象になっている。支給期間は基本的には3か月だが、申請で9か月まで延長できる。

●家賃助成・住み替え助成 トクするお金:94万円(東京都新宿区) 届け出先:市区町村

 都市部や人口の減少に悩む地域では、定住者を増やすために家賃補助などを行っている。新宿区ではファミリー世帯の居住者支援として、転居前後の家賃の差額(最高35000円)を2年間助成、さらに引っ越し費用は一括支給している。2020年度の募集は50世帯。

お話を聞いたのは 井戸美枝さん
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、社会保険労務士。経済エッセイスト。講演やテレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題についてアドバイスをしている。近著に『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BPマーケティング)など。

取材・文/つきぐみ(水口陽子)