靴下に“正しい洗い方”があることをご存じですか? 実はメーカーも推奨している洗い方で、靴下が持つパワーをグンと引き出すことができるんです!

裏面の汚れは洗剤で落ちにくい

 靴下は、かつては天然繊維の糸1本だけで編まれていましたが、編み機の改良により、2本の糸を使い分けられるようになりました。そのため、現在市販されている靴下の多くは、見た目とはき心地を両立させるため、表側には天然繊維が、裏側には、ずり落ちないよう伸縮性のある化学繊維が使われています

 実は、この素材の違いこそが、靴下の洗濯の仕方を考えるうえで重要なポイントになってくるのです

 裏面によく使われる化学繊維は天然繊維に比べて、伸縮性が高いぶん、細くて縮れています。そのため汚れが絡みつきやすく、落ちにくいのです。しかも、靴下の表面につく油汚れなどは洗剤で分解しやすいものが多いのに対し、裏面につく皮膚や角質などのタンパク質汚れは洗剤では分解しにくい性質。

 つまり、汚れが絡みやすく、落ちにくい裏面こそ、外側に出してしっかり洗うべきだったのです

タンパク質汚れがニオイの原因に!

 靴下の裏面に多い、タンパク質汚れ。残ってしまうと、それを好む菌が繁殖します。この菌は増殖するときにニオイ成分を出すので、タンパク質汚れが蓄積されると、どんどん強いニオイを発するように。きれいに洗濯したつもりでも、実は汚れが残っていたことが嫌なニオイの原因だったのです。

 ニオイを発生させないためには、タンパク質汚れをしっかり落とすことが大切

靴下の表面と裏面でこんなに違う!
靴下の表面と裏面でこんなに違う!

 タンパク質汚れは、洗剤の力だけでは落ちにくいので、洗濯機の性質も利用します。洗濯機の中の洗濯物は洗濯槽の中で回転するときに、洗濯槽やほかの衣類にぶつかったり、こすれあったりします。そのため、裏返して洗えば摩擦などによって、タンパク質汚れがはがれ落ちやすくなります。

実はタグにも「裏返して洗ってください」と書いてあった!
実はタグにも「裏返して洗ってください」と書いてあった!

 最先端の科学とユニークな実験で日常の疑問を調査するNHKの人気番組『ガッテン!』で、実際に実験したところ、タンパク質汚れの量に大きな差が(下の【実験でガッテン!】参照)。

 また、表面の天然繊維は摩擦に弱く傷みやすいのですが、裏返して内側になれば、衝撃や摩擦を受けにくくなります穴あきや毛玉ができにくくなり、靴下を長もちさせることもできるのです

【実験でガッテン!】
2週間、「裏返し洗い」を試してもらいました!

実験でガッテン!
実験でガッテン!

 バドミントン部の高校生に協力してもらい、靴下の左右を決めて、片方だけを「裏返し洗い」にしてもらいました。2週間後、ニオイの強さを示す数値を測定すると「裏返し洗いしたほうの数値は、裏返さずにそのまま洗った場合の半分以下という結果に!

そのまま洗ったときの靴下のニオイ数値
そのまま洗ったときの靴下のニオイ数値
裏返し洗いしたときの靴下のニオイ数値
裏返し洗いしたときの靴下のニオイ数値

 

 横浜国立大学教授の大矢勝さんに調べてもらうと、洗濯後のタンパク質汚れの量に2~3倍近くも差があることが判明しました!

靴下の正しい洗い方・干し方

 正しい洗い方があまり知られていないことを「残念に思っている」という靴下メーカーの人に、洗い方のコツを教えてもらいました。

1.裏返して洗う

1.裏返して洗う
1.裏返して洗う

 表面に大きなゴミやほこりがついていたら、よく払ってから裏返す。

2.干すときも裏返しのままでOK

2.干すときも裏返しのままでOK
2.干すときも裏返しのままでOK

 はき口を上にして干すと、はき口が伸びにくいのでおすすめ。

3.傷みをより防ぐには陰干し

3.傷みをより防ぐには影干し
3.傷みをより防ぐには影干し

 直射日光を避け、風通しのよい場所での陰干しがおすすめ。

4.ストッキングも裏返してネットに入れる

4.ストッキングも裏返してネットに入れる
4.ストッキングも裏返してネットに入れる

 表裏とも化学繊維だが、内側にタンパク質汚れがつくので、裏返して洗う。 ※商品の洗い方に特別な指示がある場合は、その指示に従ってください。


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