家なき子('94年)

「同情するなら金をくれ」

 人気子役の安達祐実を主人公に、母の難病、父の暴力、学校でのイジメなどなど、ありとあらゆる試練をたたみかけていく野島伸司企画の黒い寓話。泣かせの要素をてんこ盛りにし、劇的な出来事を積み重ねるマンガチックともいえる作り方は、その後、ティーンをターゲットにした土曜9時枠のドラマへとつながっていく。「安達祐実ちゃんと年齢が近かったので、いつもハラハラしながら見てました」(岡山県・42歳)。「まさに現代版おしんと呼ぶべき作品。毎週末が楽しみでした」(東京都・47歳)

日本テレビ系 最高視聴率37・2%
出演/安達祐実、内藤剛志、保坂尚輝、田中好子ほか
主題歌/中島みゆき『空と君のあいだに』

古畑任三郎('94年)

「古畑任三郎でした」

 三谷幸喜が日本で初めて連ドラでのパズラー(謎解きモノ)に挑戦した作品。古畑を演じた田村正和の洗練された空気感とキャラクターのとぼけた味わいが絶妙。刑事コロンボを彷彿させる倒叙モノ(冒頭で犯行があり、犯人が明らかになる)で、ゲストの犯人役との丁々発止が楽しく、コメディーとしても優れた作品だった。「ゲストの人選が面白く、特にイチローが犯人を演じた回は、その演技のうまさにびっくりしました」(埼玉県・51歳)

フジテレビ系 最高視聴率16.6%
出演/田村正和、西村雅彦ほか

踊る大捜査線('97年)

「事件に大きいも小さいもない!」

 事件ではなく警察という組織の中での人間模様を描くという、これまでと全く違うアプローチで刑事ドラマの流れを変えた傑作。その後、映画化され社会現象を巻き起こした。織田裕二演じる青島のサラリーマン的悲哀をにじませた刑事が、どんどん熱くなっていく姿がカッコよく、柳葉敏郎のキャリア、いかりや長介のベテラン刑事などそれぞれキャラが立ち、群像劇としても秀逸だった。「刑事ドラマが面白いと初めて感じた作品」(35歳・大阪府)

フジテレビ系 最高視聴率23.1%
出演/織田裕二、柳葉敏郎、深津絵里、いかりや長介ほか
主題歌/織田裕二 with マキシ・プリースト『Love Somebody』

ラブジェネレーション('97年)

「ちょ、待てよ!」

『ラブジェネレーション』('97年)
『ラブジェネレーション』('97年)

 木村拓哉&松たか子の黄金コンビが『ロンバケ』以来の共演で話題となった作品。会社の先輩後輩の恋物語というオーソドックスなラブストーリーで、月9史上初めて平均視聴率が30%を超える大ヒット。この記録はその後、同じくふたりが共演した『HE
RO』に抜かれることになる。最近でも映画『マスカレード・ホテル』のヒットが記憶に新しいが、このふたりの組み合わせにはヒット作を生み出す不思議な力があるのかもしれない。

フジテレビ系 最高視聴率32.5%
出演/木村拓哉、松たか子、内野聖陽、純名里沙ほか
主題歌/大瀧詠一『幸せな結末』

GTO('98年)

「いいじゃねえか、お前はお前で」 

 長引く不況に世に閉塞感があふれた'98年に「言いたいことも言えないこんな世の中は」と、さっそうと現れたのが反町隆史扮するグレート・ティーチャー・鬼塚(GTO)だった。女子高生にモテたいだけで教師になった元不良という破天荒な教師像は若者たちに爆発的な支持を受け、その年の最高視聴率35.7%を記録した。「鬼塚先生の元ヤンっぷりと熱血が合わさったところが好き。こんな先生が担任だったらと妄想してました」(香川県・32歳)

フジテレビ系 最高視聴率35.7%
出演/反町隆史、松嶋菜々子、中尾彬、白川由美ほか
主題歌/反町隆史『POISON〜言いたい事も言えないこんな世の中は〜』

ビーチボーイズ('97年)

「いいじゃん、夏なんだから」

『ビーチボーイズ』('97年)に出演した反町隆史、竹野内豊
『ビーチボーイズ』('97年)に出演した反町隆史、竹野内豊

 反町隆史&竹野内豊という当時を代表するイケメンふたりが繰り広げるひと夏のバケーション。特にドラマチックな出来事は起きず、夏の太陽と海をバックに淡々とエピソードがつむがれていく。岡田惠和の生み出す絶妙な会話劇は、その後、朝ドラの『ちゅらさん』『おひさま』『ひよっこ』へとつながっていく。「イケメンと海さえあればほかに何もいらないというドラマ(笑)。サイズオーバーのTシャツ姿の広末ちゃんも可愛かった」(広島県・52歳)

フジテレビ系 最高視聴率26・5%
出演/反町隆史、竹野内豊、広末涼子、稲森いずみほか
主題歌/反町隆史 with リッチー・サンボラ『Forever』

救命病棟24時('99年)

「患者が俺たちを生かしてくれてるんだ!」

 当初は日本版ERと呼ばれていたが、その後、第5シリーズまで制作され独自の世界を築き、日本を代表する医療ドラマに。クールな天才救命医・進藤を江口洋介が演じ、新境地を開拓。またヒロインの新米女医を演じた松嶋菜々子はこの年('99年)、ほかにも『魔女の条件』と『氷の世界』に主演し、トップ女優となった。ちなみに『コード・ブルー』で新木優子が演じる横峯はこのドラマを見て救命医を志した。現実にも同様の救命医は多いのかも。

フジテレビ系 最高視聴率24.0%
出演/江口洋介、松嶋菜々子、須藤理彩、沢村一樹ほか
主題歌/DREAMS COME TRUE『朝がまた来る』

カトリーヌさん厳選! 再放送してほしい'90年代ドラマ

「北川悦吏子さん脚本の『その時、ハートは盗まれた』は青春の切なさが詰まった心がキュッとなる佳作です。出演が一色紗英、内田有紀、木村拓哉なので当然、三角関係の話と思いきやガールズラブの物語なんです。制服のまま跳び箱を倒立跳びする内田有紀ちゃんの可憐さったら……(笑)。深夜帯でぜひ再放送していただきたいです。あとオススメは、豊川悦司主演の『青い鳥』。豊川さんって『愛していると言ってくれ』の手話でもわかるように、手がとても色っぽいんです。そんな彼がこの作品では駅員役で、指さし確認の白手袋の美しさと言ったら(笑)。野沢尚さんのサスペンスフルな脚本と、佐野史郎さんの怪演も見どころです」

取材・文/蒔田陽平 写真/週刊女性写真班
※視聴率はビデオリサーチ調べ、週刊女性集計