ちなみに、朝ドラ女優に選ばれた人はほぼ自動的に「国民的ヒロイン」と呼ばれる。が、その肩書のまま生きていけるほど芸能界は甘くない。高すぎるブランドが、かえってアダになることもあるからだ。

朝ドラ女優の芸能スキャンダル

 たとえば、のん(当時は能年玲奈)の独立トラブルも、“朝ドラ”ブランドによる副産物だった。『あまちゃん』('13年前期)で一躍、人気者になったものの、事務所を辞めたいと言い出し、女流演出家と個人事務所を設立。「能年玲奈」を芸名として使用できなくなり、全国区の地上波で姿を見る機会が減ってしまった。

 おそらく『あまちゃん』での成功がなければ、本人も独立は考えなかっただろう。昨年の大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』には、脚本が同じ宮藤官九郎ということで出演を待望するファンもいたが、叶わなかった。

『あまちゃん』(NHK朝ドラ)でヒロインを演じたのん
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 そんなのんと同じ事務所だった清水富美加は『まれ』('15年前期)に出演。ヒロイン役のオーディションでは土屋太鳳に負け、友人役に甘んじた。「最初はヒロインしかやりたくないくらいの気持ち」「わかりやすく売れるじゃないですか」などと『しゃべくり007』(日本テレビ系)で語っていたが、準・朝ドラ女優としてそれなりのブレイクは果たしたわけだ。

 にもかかわらず、2年後、信仰する幸福の科学に出家して「千眼美子」に改名。その後は、教団が製作する映画でヒロインを務めたりしている。

 なかには、引退した人もいて『オードリー』('00年後期)の岡本綾がそうだ。事務所によれば、

女優として内から引き出すものがなくなり、表現者としての限界を感じている。一度、自分自身を見つめ直す時間がほしい

 という申し出があった、とのこと。しかし、彼女は前年、あるスキャンダルにも巻き込まれていた。中村獅童が信号無視と酒気帯び運転で交通事故を起こした際、同乗していたことが発覚。獅童はその1年前に竹内結子と結婚し、子供も生まれたばかりだったが、結婚前には岡本との交際を報じられてもいた。

 ちなみに、竹内は『あすか』('99年後期)のヒロイン。つまり、朝ドラ女優と結婚した男が別の朝ドラ女優と焼けぼっくいに火となりかけ、交通事故まで起こすという、およそ朝ドラのイメージとはかけ離れたスキャンダルだった。この件も彼女の引退になんらかの影響をもたらしたのだろう。