“ポスト瀬戸内寂聴”に?

 ビザのために僧侶の資格となる僧籍を取得した。写経の会を開き、寺を開く準備をしてアメリカに骨を埋めるつもりだった。

 そんなときに、大行寺を継ぐ予定だった4歳年下の弟が実家を出てしまい、38歳のとき、日本に帰ってきた。

「自分のわがままで好きにやっていたアメリカの10年より、日本の10年のほうが大変で今に至っています。

 周囲からは好奇の目がありましたし、大行寺を維持するために仕事を探さないといけなかった。(アメリカで)写経の会をやっていても仏教のことをまったく知らないので、勉強も必要でした」

 帰国して半年後、雑誌で異色の経歴の僧侶として紹介されたことをきっかけに注目され講演会などの仕事が増え、『激レアさんを連れてきた。』(テレビ朝日系)や『秘密のケンミンSHOW』(日本テレビ系)などに出演し、知名度がアップした。

 大行寺では、予約制で写経の会、法話会を開催。現在は、新型コロナウイルスのため中止しているが、全国各地から参拝者が集まり、リピーターも多い。悩み相談も需要がありそうだが、基本的にはしないという。

「他人をあてにしたり、依存してほしくないと思うからです。それよりも、私が出会った教え、仏教に出会ってほしいと思っています」

 法話や講演会は、経歴のユニークさや経験を生かした話術が好評。“ポスト瀬戸内寂聴”になるのでは? と向けると、

「私に言うても意味ないですから、ほかの方に言うてぇ(笑)」と、恐縮。