第三者がいる前で性行為できるわけがない

 訴状などによると、民事裁判は途中で慰謝料が計約5000万円に増額されている。

 新井氏が復職後の議会で「私のほかにも町長からセクハラを受けた被害女性が2人いる」と述べたからだという。

「そんな女性はいません。新井氏はいろいろとウソの話をしますが、何ひとつ証拠を出してこない。言いっぱなしなんです。民事裁判では新井氏側にわいせつな行為があった事実を立証する責任があります。しかし、私もいろいろと調べて“冤罪の新証拠”をつかみました」

 町長室で性交渉があったとされるのは

'15年1月8日午前。黒岩町長は「年始の挨拶で次から次へと訪問客がやってくる中、そんなことができるはずがない」などと不自然さを訴えてきた。

「その日、新井氏と町長室で面会したことだけは当初から認めていますが、新たにわかったのは2人きりではなかったということ。同席者がいたんです。新井氏は町役場にその人間を訪ねてきて、連れ立って来訪した。5年前のことなのですぐにはわかりませんでしたが、当時のメモなどもあり、冤罪を晴らす有力な証拠です」と黒岩町長。

 第三者がいる前で性行為などできるはずがないという。

 新井氏も負けてはいない。

「いま証人や証拠を集めているところ。ほかのセクハラ被害者にも“勇気を出して告発しませんか”などと協力を求めている。小さな町なので難しい部分はありますが、町長の強引なやり方は声を上げないと変わらないので」

 町長は、新井氏の告発について「背景には危険な高温浴だった『時間湯』改革への反対がある」とみるが、新井氏は「関係ない」と否定する。

 観光地としてコロナ禍で受けた打撃は大きい。町長も新井氏も「本当はこんな裁判をしている場合ではない」と、この点だけは同じ認識を示しながら、ことの真相を争う姿勢は変わらず、草津の湯よりも熱くたぎっている。