痔と思いきや、がんが発覚する場合も

 痔の症状が現れたら、すぐに治療が必要なのだろうか?

「治療よりも、まずは生活習慣の見直しが大事です」と平田さん。

「痔は肛門周辺の血行不良や便秘から起こる、いわば生活習慣病。生活を整えることで、自力で治せる人が多いんです」

 肛門には毛細血管が集まっていて、それら血管の滞りが老化や冷えを招く。また食生活や生活リズムが乱れていると便秘傾向に。これらが原因となって肛門周辺で炎症が起こり、痔の症状が出てくる。

 ただし自己診断は禁物。痔だと思って受診した人のうち約1割にがんが見つかるという。痔の症状があったら、まずは受診がおすすめだ。

痔主のランキング イラスト/上田惣子
痔主のランキング イラスト/上田惣子

【痔主のランキング】

1位 痔核(いぼ痔)
 男女ともに約6割が該当。そのうちの大多数が“内痔核”で、肛門の中に静脈瘤と呼ばれる血管の塊ができる。神経のない場所にできるので、痛みは少ないが、出血や排便痔に肛門から飛び出ることも。“外痔核”は神経の集まっている部分にできるので、強い痛みがある。

2位 裂肛(切れ痔)
 女性の約15%にみられる。硬い便や慢性の下痢で肛門付近が切れるお尻の外傷。痛みが強く、出血も伴う。何度も切れると、傷口がふさがれる過程で粘膜がひきつれて、肛門が狭くなる“肛門狭窄” になる場合も。「裂肛患者の1割程度に見られ、手術が必要なことも」

3位 痔瘻(穴痔)
 女性は約3%と少数だが、男性は裂肛よりも多く約13%にみられる。免疫力が低下しているときに、肛門内の小さな穴に便が入り込んで炎症が起き、内部が化膿。この膿がトンネルを掘り進んで肛門の内外をつないでしまう状態をいう。放置するとがん化する危険な症状だ。