「めちゃくちゃ怖いですよ」「同じ人間に思えないです」──巨大なパワーを感じる相手とは
「めちゃくちゃ怖いですよ」「同じ人間に思えないです」──巨大なパワーを感じる相手とは
【写真】熱く語り合うトークの様子、劇場版「SHIROBAKO」キービジュアル

もう全員、敵に見えます、完全に!

──『SHIROBAKO』には声優を目指すキャラクター、坂木しずかさんがいますが、声優のおふたりは、このキャラクターに共感できるポイントなどはありましたか。

木村:テレビシリーズのときのずかちゃん(坂木しずか)が、オーディション会場に行って「あ! ◯◯さんがいる! じゃあ私は無理だ……」みたいなシーン、新人のころ同じような気持ちになったことがあるので、すごくわかります。オーディションで思ったように演技できなくて、泣きながら帰ったこともありますし、初期のずかちゃんは、共感するところが多かったです。

田村あんな殺伐とした感じで、淡々とオーディションって進むものなんですか?

木村:淡々してるけど、慣れてしまえば殺伐としてないですね。

佐倉殺伐としてるって勝手に思ってるだけなんですよ、新人声優は(笑)。

木村:そうなんですよ!

佐倉:だから今もオーディションに参加すると、たぶん同じ空気のはずなんですけど、こっち側の感じ方ひとつで殺伐ともとれるし、別にとてもスムーズにただ時間が過ぎていってるとも感じるので。あれはただの呪縛ですね、ずかちゃんの(笑)。

田村:なんか、あのスタジオの向こう側の人って、狭いところにギュッといるじゃないですか。偉い人が塊でいると巨大なパワーを感じません?

佐倉もう全員、敵に見えます、完全に。「悪いヤツ」「悪いヤツ」「悪いヤツ」みたいになります(笑)。

田村:新人は特にそうだよね。

木村:めちゃくちゃ怖いですよ。

佐倉同じ人間に思えないです。

木村:「今、あいさつしたのは間違いだったかも」とか「タイミング間違ったかな」とか、いちいちすべてのことが気になって、落ち込む日々でした。

──淳さん、声優の経験はありますか?

田村:あります。僕はオーディションとかがなくて、タレント声優と言われる人たちの枠にポン、といきましたね。声優さんの所作みたいなのに困惑することはありましたけど……。

木村:みなさんで収録されたんですか。

田村:みんなで録ってたんです、最初は。だけどスケジュールが段々合わなくなってきて1人で録ってくれるようになって。そのときのほうが演技しやすかった(笑)。

──この業界を目指した理由はなんですか。

木村:こんなこと言ったらNGかもしれないですが、もともとナレーションをやりたかったんですよ。もちろん、今もナレーションをやりたいんですけど。ずっと放送部だったので声を使うお仕事をしたいなと思っていて、『情熱大陸』の窪田さんとかのナレーションを聞くと、「ナレーターいいな」と思って。うちの事務所がけっこう老舗で、ナレーションがうまい方が多くて、ホームページも地味めでなんかいいなと思っていました。そこでお芝居の勉強をちょっとずつさせてもらってから、声優もやってみたいな、という気持ちが増えて。

 でも、あんまりやったこともなかったし、お芝居を習っては先生からはダメ出しをされまくって……。向いてないなーって落ち込んでいたときに、『SHIROBAKO』が決まったんです。そのときは本当にアニメに1回だけ出たことがあるくらいの声優だったので、嘘なんじゃないかな? ドッキリかなんかじゃないかな? って思うくらいびっくりしました!

田村:最初はそんな感じなんですね。

木村:そんなもんでした、私は(笑)。

佐倉:私もあんまり書けるかわかんないんですけど、中学生のときに裏方さんの仕事を見てみたくて、劇団に入ったんですけど……セリフを覚えるのがイヤすぎて(笑)。そのときボイストレーニングの先生に「声を使った仕事につくのがいいんじゃない」と言われて、「あ、じゃあ、劇団辞めます!」って声優事務所に入りなおしました(笑)。私も最初はナレーションとかをやりたかったので、あまりアニメって見たことなかったんです。それまではアニメは1週間に30分しか見ちゃダメって家庭だったので……。でも事務所がアニメ強かったので、今ではこんな感じに(笑)。