先進医療ならば身体への負担が軽い

 がんを切らずに治すには「放射線治療」という選択肢もあります。これは患部に放射線を当てることで、がん細胞を死に至らしめる治療。

「最近では放射線治療よりもターゲットを絞って治療ができる『陽子線治療』や『重粒子線治療』といった先進医療があります。また『ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)』という、がん細胞にホウ素を取り込ませたうえで中性子を当て、DNAを壊してがん細胞が分裂できないようにする治療法も開発されています。いずれも、がんの部位や条件などによって公的医療保険が適用される場合もありますが機器を備えているところが少なかったり、ほかの治療がうまくいかない人が対象であったりなど限定的ですので、医師と相談してください」

 また先進医療は費用が数百万円かかる場合があるので、保険を適用してもかなり負担が大きいというのが現実。民間の生命保険の先進医療特約などを利用して負担を軽くすることもできるので、健康なうちに一考する価値はあり。

メスで切る開腹手術ではなく、小さな穴をあけて特殊な器具を挿入してオペをする腹腔鏡・胸腔鏡手術ですと、傷口が小さくなるなど身体への負担が少なくなります。最近は医師がロボットアームを遠隔操作して腹腔鏡・胸腔鏡手術をする『ロボット支援手術』も普及し、保険適用になるケースが増えてきたので、治療の選択肢として非常に魅力的です。ただ腹腔鏡・胸腔鏡手術は、がんの部位や大きさによってはできない場合もあるので、医師に相談してみるといいでしょう」

 さらには患者に合わせてオーダーメードで薬や治療法を選択する「プレシジョン・メディシン(精密医療)」というものも普及してきている。「最近はフェイクニュースを排除するため、検索エンジンの仕様が変わっていてネット上で信頼できる情報にたどり着くことが難しくなっています。雑誌や書籍なども含め、自分で調べて、正しい知識を持つこと。それが、治療の選択肢を広げることにつながるのです」

《現在ロボット支援手術で保険適用となっているがん
前立腺がん/肝臓がん/縦隔がん(悪性腫瘍、陽性腫瘍)/肺がん/食道がん/胃がん/直腸がん/膀胱がん/子宮体がん