昨年、10代前半の自殺率が約100年ぶりの高水準になっていたということが、人口動態統計の調査でわかった。

「私の時代と違うのは、やっぱりネットの普及だと思います。昔なら学校に行かなければいじめる側とも会わないですんだけど、今はいつでもネットでつながっているじゃないですか。見たくもないけど、LINEとかを開いてみたら、ひどい言葉が書き込まれていたり……。

 私は見たことがないですけど、自殺したい人たちが集まる自殺サイトってあるんですよね。そこで共感してしまって、そっちの世界に逃げ道を求めてしまうとか。でもね、死ぬことを選んだら後悔することができないんです。もう戻ることができないんです。そこはゴールじゃないよ、逃げ道じゃないんだよ、って言いたい

マイナスになることには関わらない

 矢部は中学3年生のとき雑誌『Momoco』の『New MOMOCO CLUB』でグランプリを受賞。芸能界デビューとともに東京への切符を手に入れた。

いじめられていた14歳当時の矢部。いろいろなオーディションに送っていたカットで、この写真がきっかけでグランプリを獲得し、運命が変わったという
いじめられていた14歳当時の矢部。いろいろなオーディションに送っていたカットで、この写真がきっかけでグランプリを獲得し、運命が変わったという
【写真】いじめられていた14歳当時の矢部。芸能界に入るきっかけになった1枚でもある

「グランプリをとって雑誌に載って。あの時点で見返したという気持ちがありましたね。周囲の反応がわかりやすすぎて(笑)。男の子はみんな私をアイドル扱いして、急にモテました。で、女の子はひがむ。今まで暗くてコミュニケーションもとれない子がアイドルになることが許せなかったのでしょう」

 いじめに打ち勝った矢部。今、いじめられて悩んでいる子どもにアドバイスを求めると、

「“矢部さんは芸能人になれたから”なんて思われてしまうかもしれない。だからアドバイスは届かないかもしれません。でもね、芸能人・矢部美穂もいろいろネットで書かれるんです。“死ね”“もう辞めてしまえ”……。こんなの読んだっていい気持ちにならないじゃないですか。だから私、見るのをやめました。すごく気になるかもしれないけど、見て影響されるのなら、絶対見ないほうがいい。見ないということも対策のひとつです。だからね“見ない、行かない、聞かない”という言葉を覚えておいてください。

 つらい時期はとにかく自分の好きなこと、やりたいことだけを見ていることがいいかな、って。自分にとってマイナスになることとは関わらない。そうすると、今までとは自分を取り巻く世界の見え方が変わってきます。生きることを放棄したら損です。生きていたら、人生は捨てたもんじゃないですよ。

 あと、お父さん、お母さんも、もし、いじめが原因で子どもが学校に行くのがイヤだと言うのであれば、それを尊重してあげてほしい。子どもの味方になってあげて、支えてあげてください。そこからは本人の頑張りです。自分が頑張れば、どうにでも変われるんです」

・悩んでいる君に贈る言葉・
「死にたいと思うくらいならネットや学校を“見ない、行かない、聞かない”で!」


やべ・みほ/1977年生まれ、北海道恵庭市出身。愛称は「ヤベッチ」。2010年に家族で経営するバー『YABEKE』をオープンし、経営者としても活躍中