あのとき行動していたら

 支えてくれる夫の存在もとても大きいです。がんがわかって、全摘手術とともに同時再建をするべきか迷っていたときも「まずは悪いものを取り除くことに集中して、そのあとはそのときの気持ちで決めよう」って言ってくれて。この言葉どおり、気持ちって変わるんですよね。実はいま、再建への迷いがまったくないんです。いざ元の生活に戻ってみると、特に不便もなくて。水泳だって、ナイロンタオルを丸めて水着の中にポンと入れれば、全く困らない(笑)。夫婦で神社に行ったとき、手をお清めしてからハンカチを忘れたことに気づいたんです。そんなときも、胸元からタオルをサッ!(笑)

「ふところで温めといた」「豊臣秀吉以来だよ」ってふたりで笑いました。

 がんになって、ささいなことに幸せを感じます。それまでは「大きな家に住みたい!」とかあったけど(笑)。小さな家でも、毎日ご飯が食べられ、冗談言い合える相手がいるだけで、幸せです。

 いまふたりで、不妊治療の再チャレンジを考えています。不妊治療中に乳がんが見つかったので、闘病中は中断せざるをえなかったんです。

 そのときの凍結胚(受精卵)が、なんとひとつだけ残っているんです。お腹にもどすためにはホルモン治療を中断することになるので、やはり再発のリスクは少し上がります。でも、たった1度きりの人生。

「あぁ、あのとき行動していたら、どうなってたかなぁ」って、後悔したくないんです。今年で45歳。超人的な挑戦です(笑)。

 人生は、チャレンジし続けることなのかな、と感じています。がんでもそうでなくても、人間はいつか死ぬ。悔いのないように生きて、あとは野となれ山となれ、です(笑)。