ジジイも身だしなみを整えないと

 過去を振り返りながら、今後は若い人が「こんなジジイになりたい」と思うような見本になりたい、とも。

「頭がハゲてても、歯がなくてもいいの。チャーミングなジジイならね。そして、若い世代が知らないことを面白く話してあげること。今と昔じゃ電話からテレビから何もかも違うでしょ。それに若い人にとって、昔の話は面白いらしいんだね。

 ただ、ウザいとか、クサいとか言われないようにジジイも身だしなみを整えないと。若い人も『その話はもう聞いた』なんて言っちゃあいけないよ。年寄りは平和な時代を築いた功労者でもあるんだから。双方が寄り添ってお互いに理解しようと努めることが大事だな」

 最後に、もしこの本がドラマ化されたら、毒蝮さん役は誰ですかね? と振ってみた。

そりゃ、木村拓哉ちゃんしかいないだろう(笑)マイク持って中継先に入っていくときもよく木村拓哉ですって言うんだけど、みんながあらぁ、似てるわねぇなんて、似てるわけないんだよババアも気ぃ遣ってくれてるんだね

 そう言って笑う毒蝮さんは最高にチャーミングだった。

52年続くお化け番組!『ミュージックプレゼント』

 1969年10月から始まった公開生放送のラジオ番組『ミュージックプレゼント』(TBSラジオ)は、今年で52年目に突入。毒蝮さんが店舗や工場・会社などを訪問し、集まった聴衆とおしゃべりをする長寿番組だ。現在、中継は自粛中だが、事務所からの生放送におじゃました回は女優のマッハ文朱さんがゲスト出演。かたや『ウルトラマン』のアラシ隊員、かたや『宇宙怪獣ガメラ』が初主演と、怪獣作品で縁がつながった話で盛り上がった。

『たぬきババアとゴリおやじ 俺とおやじとおふくろの昭和物語』(学研プラス刊・税込1430円)※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします
【写真】毒舌キャラでおなじみ、毒蝮三太夫が魅せた“はじける笑顔”
PROFILE●毒蝮三太夫(どくまむし・さんだゆう)●1936年生まれ。'49年、舞台『鐘の鳴る丘』でデビュー。『ウルトラマン』『ウルトラセブン』の隊員役として人気を博す。'68年、『笑点』出演中に立川談志のすすめで本名から毒蝮三太夫に改名し、現在もさまざまなメディアで活躍中。'99年より聖徳大学客員教授。

(取材・文/山脇麻生)