親が高齢になると、いつその日がやってきてもおかしくない介護の問題。

 介護にはお金がかかる。介護の平均期間と平均月額費用をかけ合わせた平均総額は425万円余り。重い負担だ。

「行き当たりばったりで介護に臨むと出費は膨むばかり。一方で、苦しくても職場では介護のことを口にできず、1人で抱え込みがち。介護離職は介護開始から半年の間が多いのですが、そうなったらもっと経済的にきつくなります」

 と話すのは、介護のお金に詳しいファイナンシャルプランナーの柳澤美由紀さん。

 65歳以上の親が「要介護認定」を受ければ、公的な介護保険サービスを利用できる。ただし、サービス利用料の1割(一定以上の所得がある場合は2~3割)や介護保険対象外のサービスは自己負担のため、これをどう抑えるかがカギに。また、在宅介護より施設介護のほうがお金がかかる点も認識しておくべきこと。

「介護は夫婦、親族で取り組む“プロジェクト”です。まず情報を集め、専門家に相談して作戦を練る。そのうえで実行すればプロジェクトは成功する。介護の費用を賢く抑え、心の負担も軽くなるのです」

介護が視野に入ったら

【コツ1 行動日記やタイムスケジュールをつける】

 親が病に倒れるなどして医師に介護が必要と宣告されたら、介護保険の申請手続きを。

「申請から認可までは約1か月。早めに対応しましょう」

 調査員が自宅を訪れて審査し認定されれば要支援1~2、要介護1~5のいずれかに分類。ランクごとにサービスの内容や利用料の上限額(うち1割自己負担)が変わる。

「正確に判定されないと自己負担が増えてしまうケースも。親の普段の様子をメモし、それを調査員に渡すなどすればミスマッチを防げます」

◎ココに相談を!
 介護保険の相談は全国の自治体にある「地域包括支援センター(または高齢者総合相談センターの名称)」へ。市役所の介護保険課もその窓口だが、柳澤さんは地域包括支援センターを推奨する。介護保険の手続きだけでなく介護の問題全般に対応し、ケアマネージャーや保健師、社会福祉士などの専門家に連携してサポートしてもらえるのが利点。