目次
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ー 一生健康は“無理ゲー”人生の目標を持つべき
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ー 対話、診療で見えてきた、人それぞれの“老いない生き方”
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ー 老いない生き方(5):高血圧の薬を飲むなら森林浴を

 舛森(ますもり)悠先生は総合診療科で働く医師。北海道で70~100歳の患者さんたちを中心に診療をしている。総合診療科とは聞き慣れない名称だが、限定的でなく、多角的に診療を行う部門として、日本では近年少しずつ増えている科だ。

他の専門医とは違って、特定の疾患や臓器に限定せず、あらゆる病状を診ています。仕事や人間関係、食生活も含め、患者さんが抱える健康問題について幅広く対応しており、ここで9割は解決できます。

 僕が勤務する病院のある函館は漁師町で塩分の多い食事を好む傾向がありますが、高血圧からの心疾患、がん患者が多いのです。“病気になった”という事実だけでなく、その背景など患者さんとコミュニケーションをとりながら診察をしています」(舛森先生、以下同)

 患者との対話から問題解決のヒントを得ることも多い。

「治療はもちろん大切ですが、これまでたくさんの高齢患者さんを診てきて、病気を完治させることだけがゴールではないと気づきました。

 その過程で、その人なりの“ウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に満たされている状態)”の叶(かな)え方を、共に模索しています」

一生健康は“無理ゲー”人生の目標を持つべき

 健康情報があふれる現代。自身の身体のためと、あれこれ頑張る人も多い。

「健康に注意して生活することはいいことです。でも、そこを追い求めすぎると、老いを感じたり病気になった時点で人生に後ろ向きになってしまう……。

 一生健康でいるというのは難易度が高い、いわゆる“無理ゲー”なんです。一番大事なことは頑張りすぎずに、上手に、ごきげんに老いることです

 身体を大切にすることと同じぐらい、自分が何を大事にして、どうやって生きていきたいのかという目標を持つべきだと舛森先生は語る。

 医師の立場として日々さまざまな診察をする中で、患者さんからヒントを得た“こんなふうに年を重ねたい”と思える、老いない生き方とは。