2020年8月20日、不二家三島ステーション店(静岡県三島市)がコロナ禍、37年の歴史に幕を下ろした。店頭に立ち続けたペコちゃんからの最後の手紙「今日も頑張ってるみんなへ」の内容は、ツイッターで1万回以上リツイートされ瞬く間に拡散した。

《37年間、毎日毎日みんなの頑張るすがたをここで見守ってきたけど、お別れの時がやって来ちゃったペコが来た時、子供だったみんなも もう立派な大人になって、ペコの身長を追い抜いていったもんね本当に本当に長い間ありがとね!暑い日も寒い日も雨の日も頑張るみんなを応援しているよ! ペコより(一部抜粋)》

 このメッセージに、ネットでは「優しい言葉に泣いちゃう」など、改めてペコちゃんがいた日々を惜しむ声が相次いだ。地元の人々を愛し、支えてきた歴史が伝わってくる。

 今日も全国各地の店先では、ペコちゃんが客を出迎える。ミルキーの包み柄のマスクをして感染予防を促すことも、看板娘の大切な仕事だマスクを嫌がる小さな子どもが、ペコちゃんのマスク姿を見てまねするようになったという微笑ましい話もある

 ペコちゃんの歴史は、戦後復興を味覚で下支えしてきた不二家の歴史でもある。ペコちゃんが笑っている限り、大丈夫。そんな安心感と高揚感があるのも、納得だ。ややもすると先行きの見えない窮屈なマスクの下、ペロっと舌を出すしたたかなペコちゃんに救われた気がした。

(取材・文/はじめすぐる)