イベントで一緒になった共演者に相談していた

 思い描いていた未来像とかけ離れていく現実に、周囲にも自分の葛藤をぶつけるようになった。

「本当はガールズロックをやりたかったはず。それこそ、彼女が好きなアヴリル・ラヴィーンみたいな。『鬼滅』の『紅蓮華』がヒットする直前まで、心のどこかでそう思っていたんじゃないかな。“アニソン歌手と呼ばれたくない”“本当にやりたいことなのかっていつも思う”と親しいスタッフにはよくこぼしていました。インタビュー取材でもそれを隠そうとしなかったので、よくスタッフからたしなめられてました(苦笑)」(当時を知る音楽関係者)

 本人の思いとは裏腹に着実に人気を獲得し、現在では原作を連載していた『週刊少年ジャンプ』を読む少年少女はもちろんのこと、大人や高齢者にさえ知られるほどに“アニソン歌手”として知名度を上げている。

 しかし、“本当にやりたいことは、これじゃない”という思いがそうさせていたのか、ソロになった直後は自身のパフォーマンスに自信が持てない日々が続いた。

「当時、よくイベントでご一緒することがあったのですが、共演者に“どうしてステージでそんな堂々とできるんですか?”なんて相談していましたね。本当に小さなステージで、相談相手も全然メジャーじゃないような人だったりしたのですが……。そんな彼女が今や『紅白』などの大舞台で、臆することなく素晴らしいパフォーマンスをしているところを見ると、何だか感慨深いですね」(別の音楽関係者)

 昨年に引き続き、今年の紅白歌合戦への出場も正式発表された。2020年を彩った作品として、最高のステージを私たちに届けてくれるだろう。