自分は「会社のために」「まじめに」頑張っているつもりなのに、認められるどころか悪く言われてしまう。こんな生活を送っていたら、メンタルが疲弊しても無理はないでしょう。20代のころから、麻耶は大分ストレスを溜めてきたのではないでしょうか。なぜ周囲は麻耶を認めなかったのか。ぶりっ子キャラがよくなかった可能性も大ですが、これは「自分にしか興味がない人」の陥りがちなジレンマではないかと私は思っています。

自分が好きすぎるから、自信がなくなる

 麻耶は『しなくていいがまん』において、《「そのままの自分」に自信がない》と書いています。

 2016年に『しくじり先生』(テレビ朝日系)に出演した麻耶は、中学時代「6日に1回のペースで男子から告白され」、「1週間に1人来ないと『なんか変だな』と思う」くらいモテまくっていたことを明かしていました。大学時代は、明石家さんまと一般人女性が恋愛について語る『恋のから騒ぎ』(日本テレビ系)で、よりすぐりのかわいい子だけが座れるとされる前列に座り、女子アナになって入社早々レギュラーをたくさん持たされた。この人生で「自信がない」と言われたら、どうすりゃいいのと思う人もいるかもしれません。

 が、「自信がない」には2種類あると思うのです。1つめは「自分の能力が劣っているので、周囲に気後れしてしまう」という意味、2つめは「自己評価が高すぎるので、現実の結果が不当なものに思えて苦しむ」パターンです。麻耶の場合は、後者ではないでしょうか。

『しなくていいがまん』で、《人が100人いれば、100人に自分を好きでいてほしかった》と書いていますが、国民的大スターにもアンチがいるように、世の中にはいろいろな趣味嗜好の人がいますから、全員に好かれることは不可能です。ちょっと考えればわかりそうなものですが、上述したように麻耶は鬼モテした実績があるだけに「自分ならできる」と思ってしまったのかもしれません。しかし、中学生男子とは違い、大衆全員に愛されることはやはり難しい。自分が好きすぎるから、自信がなくなってしまうのです。

 自分を高く見積もりすぎているために「自信がない人」は、人に認められたいので、努力は惜しみませんが、他人に興味を持たない傾向があると思います。麻耶は『しなくていいがまん』で仕事に行き詰まっている後輩にアドバイスを求められ、「全然、大丈夫! わたしごときができるんだから、あなたにできないわけがない」と答えたところ、後輩はもう相談してこなくなったと書いていました。後輩の相談に具体的なアドバイスをせず、自分の話をしてしまうのは「自分にしか興味がない人」の特徴と言えるのではないでしょうか。

 すぐに自分の話をしてしまうといえば、10月29日放送の『グッとラック!』(TBS系)が思い出されます。司会の立川志らく「母親がいないと子どもが不幸じゃないか」と発言したことに対し、コメンテーターである麻耶が怒りに震えながら「母親がいないのは不幸だとおっしゃったのは、私はそうは思いません」とひくーい声で抗議して話題になりました。ネットニュースでこの話を知った人は「志らく、ひどい!」と思うかもしれませんが、実際に番組を見ると、印象は変わると思います。