事態が悪い方向に陥ってしまう理由

 同日の放送では、芸人・だいたひかるが乳がん再発の可能性を承知の上で、不妊治療に挑戦するという話題を紹介しました。志らくは「母親がいないと子どもは不幸じゃないか」と思ったので、妻とこの問題について話し合い、その結果、だいたの決断を応援したいと結んでいました。つまり、ここで言う「母親がいないと子どもは不幸じゃないか」とは「だいたの身に何かあったら、生まれてきた子どもはどうするのか」という意味であり、世の中の「母親のいない子ども」全員を「不幸だ」と決めつけたわけではないのです。

 麻耶の妹である麻央さんがなくなり、甥御さん姪御さんは「母親のいない子ども」になりました。愛する身内が侮辱されたと思って熱くなったのかもしれませんし、志らくも言葉足らずだったと思います。しかし、きちんと話を聞いていれば、真意はわかったはずです。本筋に関係ないことで、いちいち激昂していたら共演者もやりにくいでしょうし、コメンテーターとしての資質に疑問符がついてしまうでしょう。

 このように、自分の評価ばかり気にしている人は、どうしても注意が散漫になり、他人や現実をおろそかにしてしまいます。その結果、被害妄想的な解釈や行動に出るようになれば、仕事に差し障りが出ます。人は社会的な生き物ですから、仕事の評価が下がれば、メンタルの落ち込みは避けられません。「自分にしか興味がない」「自分のことばかり考えている」と、事態はどんどん悪い方向に陥ってしまう可能性があるのです。

スピリチュアルは傷つきたくない人ほどハマる

 常に自分の評価のことばかり考えて、自分の世界に閉じこもるようになると、「自分を決して否定しない事柄や人」を求めるようになるでしょう。仕事で大きな失敗した場合、上司や先輩に頭を下げ、叱られ、なぜミスをしたか原因を説明することを求められます。しかし、スピリチュアルでは「すべては必然」「失敗は魂の学びのため」と言ってくれますから、自分の悪いところに向き合わなくてすむ。傷つきたくない人ほどハマるのではないでしょうか。

 麻耶の夫である、あきら。こと國光吟氏は「宇宙ヨガ講師」を名乗るくらいですから、そういう世界に理解があるのでしょう。夫が洗脳したのかどうか、私にはわかりませんが、出会うべくして出会った二人と言えるのではないでしょうか。

 自分のことばかり考えて、自分に自信が持てない状態を、私は「自分地獄」と呼んでいます。自分について考えれば考えるほど、周囲とうまくいかなくなり、自分の理想とする方向から離れていってしまうのです。

 麻耶をヤバいと笑うことは簡単ですが、この地獄に通じる穴はそこかしこにあります。誰もがこの地獄に落ちる可能性があることを、ヤバ女ウォッチャーとして申し上げておきたいと思います。


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」