無用な病院通いが新たな病気を呼ぶ!?

 健康診断で血圧の高さを指摘され、病院通いを始めるのも注意が必要。

血圧は、健康診断などで測ると高く出るもの。20くらいは平気で高くなりますから、その数値を指摘されて高血圧の薬を飲むのはナンセンスです。今のうちから自宅で血圧を測り、本来の血圧値を知って、薬の必要があるか判断できるようにしておくといいと思います。血圧計を買う費用はかかりますが、薬を飲み続けることを考えると、よっぽど経済的です」(植田さん)

 加齢の影響で血圧は高くなるが、緩やかに上昇して65歳で140くらいの値なら気にする必要はない。散歩などの運動を行うことで、血圧が下がることも少なくないので、すぐに薬に頼らないこと。

血圧の薬は、医療費を高騰させている原因のひとつ。飲む必要がないのに服薬しているという人も多いと感じています。すでに飲んでいるという人も医師に減薬の相談をしてみるといいでしょう。65歳でリタイアを予定している場合は、仕事のストレスが減り、血圧が落ち着く可能性もあるので、そのタイミングで相談するのもおすすめです」(植田さん)

 そもそも、“定期的な病院通い自体も本当に必要か考えてほしい”と植田さんは警鐘を鳴らす。

「厚生労働省が行っている患者調査などをみると、70歳以上の少なくとも半数以上の人が、なんらかの理由で定期的に通院していると考えられます。でも、定期的に病院へ行けるのは元気な証拠ではないでしょうか?」(植田さん)

 病院に行くと、ほかの病気がうつる可能性もあるため、本当に病院に行くべき状態なのかという疑問は常に持つべきだという。

「あちこちの病院を渡り歩き、飲みきれない量の薬をもらっているお年寄りも少なくありません。もらったばかりの薬を病院のゴミ箱に捨てたり、薬が重複していつもボーッとしてしまうという事象もあり、問題視されています。健康とお金の両面で考えても今から“何かあるとすぐ病院”という感覚を見直すことが大事だと思います」(植田さん)

 無用な病院通いをしないためにも、健康な身体づくりが必要だが、そこにもお金をかける必要はない。

「スポーツクラブは社会的な交流を持つという意味ではいいと思います。でも、年をとるほど“1人でできる・いつでもできる・お金がかからない”という3つの条件を備えた運動が継続しやすい。その条件にいちばんぴったり合うのが、ウォーキングです。意識的にスーパーまで歩いていったり、散歩の時間をつくったり、1日8000歩の習慣づけをしておくことで、身体もお財布も健全でいられると思います」(植田さん)

■人付き合い……ストレスを感じるものに見栄出費をやめる!

 次に仕分けするのは、現役世帯よりも出費が増えてしまう“交際費”。気をつけないとどんどん膨らんでしまうため、容赦なく削っていきたいところだが……。

「人との付き合い自体を減らせば出費は少なくなりますが、片っ端から“人の断捨離”をするのはおすすめできません」(藤川さん)

 付き合いがないほうがストレスがなくてよい人もいるが、親戚との断絶やコミュニティーでの孤立は困ることも。人と交わる機会をなくしてお金を浮かせるのではなく“ない袖は振れない”と心得て、見栄を張らないことが大切だ。

「冠婚葬祭で“親戚が10万円包んだから自分も”という人もいますが、そんな必要はありません。数千円という額でもいいですし、葬儀は手を合わせに行くだけでもいい。手を合わせるだけで、ちゃんと供養になるのですから、見栄を捨てること。法事もお金がないと悩むくらいならやめてOKです」(藤川さん)