お金を使わなくてもつながれる関係に

 日常的な友人とのランチやお茶会は気軽に行ける範囲にとどめる。数千円のランチより、1杯100円のコーヒーでも楽しくおしゃべるできる人間関係を大事にすることが、老後を楽しむコツだ。同窓会も、面倒だと思っているなら不参加に。

 年末年始の人付き合いが増えるが、経済的にストレスを感じているなら迷わず手放したほうがハッピー。年賀状も手間だと思って悩んでいるなら“年賀状じまい”を行う。急にやめると心配をかける可能性があるので、今年で最後にする旨を書いた年賀状を送っておくと、よりスマート。

「お年玉など、孫へお小遣いをあげても、感謝されるのはそのときだけ。すぐに忘れられます(笑)。今はコロナ禍で難しいかもしれませんが、家で料理をふるまって一緒に過ごすほうが、お互いの記憶に残りますよ」(植田さん)

■嗜好品・娯楽……楽しい思い出にならないならスパッとやめる!

 外食、習い事、海外旅行といった、生活の潤いとなるものも60歳をめどにうまく減らせるよう今から検討を。

「外食は、年齢とともに自然と減額されると期待できるが、健康面からも今から回数を抑える努力をしておいて損はありません。外食は、“たまのごちそう”として楽しむのがいいと思います」(藤川さん)

 そもそも、高齢者世帯の食費は、現役世帯と比べて1万円ほどしか変わらず、逆に魚介類や野菜、果物などへの支出は大幅に増える。外食を減らすこと以外で食費を下げるのは、なかなか難しい。

「身体のことを考えると、食材費を抑えるのは危険。外食を減らし、野菜や魚など家で料理をする食材へのお金は惜しまないでください。シニア割などを行っているスーパーもありますから、上手に活用すれば、家計の役に立つはず。ただ、ずっと自炊というのもストレスになりますから、たまにお惣菜を買ったり、月1回くらいはご褒美で外食をして、ストレスを軽減させられるといいですね」(植田さん)

 旅行は体力的に限界があるので、今はコロナ禍で注意が必要だが、“行きたいところへは行けるときに”という考えでも悪くない。

老後は“人生最後”の体験が増えていくので、その楽しみは大切にすべき。でも、むやみに出費していては破産してしまうので安心して楽しめる予算立てをすることです。老後はなかなか生きがいを見いだせないこともあるので、生活のハリにつながるものは残し、そのほかで節約していくのが賢明です。楽しみがあるほうが、日常の節約にも精が出るはず」(藤川さん)

 習い事も楽しんでできるものだけを60歳までに取捨選択。予算内で行える工夫を。

 一方、タバコ、お酒は“楽しみ”だからといって、減らさないのはダメ。

「タバコは値上がりが進んでいますし、身体のためにもやめるべき。お酒も、自宅で1杯をゆっくり味わう楽しみ方に切り替えて」(植田さん)