ヒロインはベテランより若手の方がいい!?

 視聴率ワースト10の中でも異色を放っているのが8位の『芋たこなんきん』だと、ふたりは口をそろえる。

「すごくいい作品なんです。でも、ヒロインが朝ドラ史上最年長の藤山直美さん。当時47歳で、まだこの記録は破られていません(笑)。上の世代の主婦層に共感されるようにと藤山さんを起用して、円熟味のあるしみじみしたいいお話を作ろうとしたのかもしれませんが……。

 朝ドラって、若いときに素敵な恋もしたわね、みたいな美しい思い出として見たい部分もあると思うんですよ。だから、主人公や相手役は若い方が適しているんです」(木俣さん)

 藤山はキャリアも圧倒的に積んでいる女優。

「これまで朝ドラで悪役もやられていますし、何しろ演技が達者ですから、視聴者が共感して応援したいヒロインではないですよね。でも、夫役の國村隼さんとのベテラン同士の掛け合いは本当に面白かった」(田幸さん、以下同)

 最近では『スカーレット』で戸田恵梨香さんと松下洸平さんのふたり芝居が話題になったが、

『芋たこ』はそういった日常シーンがずっと続く感じ。今放送したら、もっと数字はとれるんじゃないですかね

 それならば見直してみたいが、『芋たこ』は、傑作なのにDVD化されていない。

「ヒロインの嫁ぎ先は子どもが5人いる10人家族。子どもにとっては“おばちゃん”の主人公が少しずつ家族としての関係を育んでいく。そういった新しい家族のカタチを描いているので、今ならもっと注目されると思うのですが」

 視聴率ではワースト4に入りながらも『芋たこ』と並んで、好きな作品ベスト3の1本は『ちりとてちん』だと田幸さん。

『ちりとてちん』で貫地谷が演じたヒロインは、これまでのヒロイン像とは真逆の“後ろ向き”な女の子だった
【写真】表でわかりやすい! 朝ドラ“黒歴史”ワースト10

『ちりとてちん』はDVD化されていて記録的な売り上げを達成しています。この作品、内容がすごく濃くて、1回見ただけだと見落としてしまう小ネタがあったり、意味がすぐにはわからない伏線も多くて……。言ってしまうと、忙しい時間帯に見る朝ドラ向きではないんです(笑)。

 今では朝ドラを何回も見る人がいますけど、そういった視聴習慣ができたのって『ちりとてちん』からなんですよ。この作品はストーリーが落語家の一門の話で、ヒロインだけを真ん中に置いている話ではないんです。一門の群像劇であり、内容も落語を下敷きにしている点からも、ドラマを複雑にしていました。なので今までの朝ドラファンからは敬遠されたのかもしれません

 朝の忙しい時間に、ながら見するには不向きな内容。1日のうちで朝見て、昼見て、夜見て、と見るたびに発見があったり、3回目で理解できることもあったという。これは制作サイドの挑戦だったのかもしれない。

「このスタイルは、のちの『あまちゃん』につながりますよね。何度も見たいと思わせる作品なので、視聴率が悪くてもDVDは売れているんです」