お昼のNHKを凍らせたのは女優の桃井かおり

「『スタジオパークからこんにちは』というほのぼのした番組に出演した桃井はのっけから好戦的でした。アナウンサーの受け答えが気に入らないのか《そんなわけないじゃない、本当に困っちゃいますね、NHKの方は》とコメント。見かねたアナウンサーが、なぜこの番組に出演を? と尋ねると《だんだん仕事が安定しちゃうんですよ。だから面白くない順に仕事を受けてみようという気持ち》と答えてアナウンサー2人を翻弄していました」(同)

生放送ならではの放送事故

 大物の言動には周囲もヒヤヒヤ。同じく『スタジオパーク』からは山田五十鈴先生も。

「五十鈴先生がミザリーちゃんという犬のぬいぐるみを持ってきて、着せ替えの服を楽しそうに紹介して周囲が困惑したことも(笑)」(同)

 かつて乱立していた歌番組『歌のトップテン』(日本テレビ系)、『ザ・ベストテン』(TBS系)、『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)は生放送だけにハプニングの連続。

「歌詞を忘れてしまうなんていうのは日常茶飯事。『ベストテン』からは南野陽子さんが『秋からも、そばにいて』を歌唱中に立ち往生してしまったり、アイドルの素の部分が見られるのも魅力でした。アルフィーがファンの家を訪ねて歌うという企画は、そのファンが不在で留守宅の前で歌うという珍事件も。

『夜ヒット』では、忌野清志郎さん率いるザ・タイマーズが予定していた楽曲とは違う『FM東京』を罵倒する楽曲にすり替えて披露。司会の古舘伊知郎を震え上がらせました」(同)

 今では考えられない、カメラの前で殺人が起きたことも。

「'85年当時、詐欺事件で社会的非難を浴びていた豊田商事の会長・永野一男が自宅で刺殺されました。逮捕直前ということもあって、マスコミが押しかけていたのですが、その輪をかいくぐって2人組の男が窓を割って侵入。血だらけでカメラの前に戻ってきたのです。永野は刺殺されていて、この様子はワイドショーで生中継されていたんです。その後、血だらけで担架で運ばれる豊田商事会長の姿まで映し出されて、前代未聞の殺人生中継でした」(同)

 殺人の瞬間は豊田商事だけではない。

「'95年に起きた地下鉄サリン事件の首謀組織・オウム真理教の幹部・村井秀夫もカメラの前で刺殺されました。村井をマスコミが取り囲む中での出来事で現場にいた記者も何が起きたかわからなかったといいます」(同)

 昭和、平成とお茶の間をにぎわせてきたテレビだが、視聴者離れが進んでいる。令和の時代に歴史に残る“放送事故”は生まれるのだろうか。