ジェットコースター
のような芸能生活50年

草刈正雄 撮影/佐藤靖彦
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 主演作は途切れず、脇にまわれば特別な存在感を放つ。近年では『真田丸』( '16年)の真田昌幸、『なつぞら』( '19年)の柴田泰樹など。その確かな演技力で生きざまを見せつけ、私たちの心を熱くさせる。

 そんな草刈は昨年、芸能生活50年を迎えている。ずっと第一線で輝いている印象だが、

「浮き沈み、ありますあります。僕自身の中では、こ〜んな芸能生活でしたよ」

 と、手でジェットコースターのような軌道を描く。

「僕は若いときにポーンといっちゃったものですから。そして、あるときにドーンと落ちまして。上がるのも速ければ、落ちるのも速かった」

  '70年に資生堂『MG5』のCMでデビューし、売れっ子モデルに。その後、俳優へ転向。マルベル堂のブロマイド年間ランキングで1位(俳優部門)になるほどの人気を獲得した。

「10年くらいいい思いをさせてもらったかな?(笑) 30代前半くらいから、どんどん役が小さくなっていって。寂しいなと思うときも、かなり長い時間ありましたよね」

“死ぬまで役者はやめない”“どんなことがあってもかじりつく”。そんな思いは強かったと振り返る。

 そんな中、ある大女優から“舞台をやりなさい”との助言をもらう。

「それでやってみたところ、僕自身が舞台が好きになりましてね。舞台に出ると“2度と嫌”っていう方もいて、僕もそうだろうなと思ってたんですよ。3時間もある壮大な物語で、セリフを全部覚えて、人前でパフォーマンスするなんて、合ってないだろうと思っていたけど、好きになった。そしたら、舞台の仕事をもらえるようになりましてね。

 僕はモデル上がりのぽっと出ですから。バックグラウンドもないし。芝居にしても、自信がないままずっとやってきてたところはあったけど、舞台がいい自信になった。それでまた映像に帰ってくると、いい結果が出た

 人とのいい出会いに背中を押され、世界が開ける。その繰り返しだったと回顧し、自分は恵まれていると感謝する。

 今後、俳優としてどうありたいかと尋ねると、

「夢、目標、ないんですよ(笑)。もう年も年だしね。だから、いただける仕事をね、なんとか僕なりにやらせてもらえればと思っています。制作の方に“今度、草刈をこんなふうに使いたい”と勝手に想像してもらって、変なものをやらせていただければいいですね(笑)」

若さの秘訣、教えて!

「それはもうペットでしょ(笑)。ワンちゃんがいてくれるからだと思いますよ。外に出て落ち込んで帰ってきても、家族や犬たちの顔を見ると吹っ飛んじゃう。いろいろね、嫌なこともありますよ。そういうのが、ウチに帰ると癒される。それは本当に感謝ですよね。本当に可愛い。

 あと僕は、見られる商売だから。僕は本当は無精な男なんですけど、長く仕事をしているぶん、ある程度は身についていることもあるのかもしれない。例えば、夜は食事をちょっと控えるとか、ウォーキングやランニングをしたりとか。あと、僕はテニスが好きなものですから、たまにテニスをしたり。でも、テニス場がちょっと遠くなっちゃってね。最近はなかなか足が運べなくて。……そんな話、どうだっていいよね(笑)」

『おじさまと猫』毎週水曜深夜0時58分〜放送中(テレビ東京ほか)(C)「おじさまと猫」製作委員会

『おじさまと猫』
毎週水曜深夜0時58分〜放送中(テレビ東京ほか)
(C)「おじさまと猫」製作委員会

スタイリング/九(Yolken) ヘアメイク/横山雷志郎(Yolken) 衣装協力/ORIHICA