お笑いのよしもとが今年4月にスタートする『吉本興業高等学院』。開校2か月前という直前のこの時期に、スポーツ紙が報じ明らかになった。

 お笑いタレントを抱える芸能プロダクションの多くは、お笑いタレントの養成所を抱えている。

 ダウンタウンや渡辺直美、チョコレートプラネットら、いわゆる“よしもと芸人”は、よしもとが運営するNSC吉本総合芸能学院の出身者だ。アンジャッシュらが所属する『人力舎』も、カンニング竹山が所属する『サンミュージック』も、お笑い養成所を構えている。

高校の卒業資格を取れる

「養成所、スクールなどいろいろ呼び方はありますが、言ってみれば私塾です。そこを出て芸人にならない限りは、公的なキャリアにはならない。そこで高校卒業資格を取ることができるようにしたのが、今回の吉本興業高等学院です」とプロダクション関係者が開設する。

 NSCの入学資格は18歳以上であり、それより若い年代のお笑い芸人志望者は引き受けていなかった。そこを網羅する。

 お笑い業界で同様のシステムをいち早く取り入れたのが、ネプチューンやアンガールズ、イモトアヤコなど多くの芸人が所属する老舗芸能プロダクション『ワタナベエンターテインメント』だ。芸能のレッスンと勉強の両立ができ、高校卒業資格が取れる『渡辺高等学院』を2014年に設立している。さらに今春、オンラインの特性を生かした『ワタナベNオンラインハイスクール』を開校する。

 スポーツ紙芸能記者が、『吉本興業高等学院』の開校メリットを伝える。

「お笑いなどの芸能に必要なスキルのレッスンを受けながら、高校卒業資格が取れるというところがミソです。親御さんにも、卒業資格が取れるのなら、と進学を許してもらえる。

 お笑いの養成所の中には、中学卒業で入れるところもありますが、そこを出たところで高校の卒業資格は取れません。よしもとは、ワタナベエンタに続いて、きっちりそのあたりをカバーしたという感じです。3年間でお笑い芸人に向いていないとわかれば、生徒さんも進学や就職活動など路線変更もできるし、吉本興業高等学院は、裏方になる道も模索できるようで、将来を漠然と考えている10代にはうってつけですね」

 さらに『ワタナベNオンラインハイスクール』に関しては、こんな見方も。

「オンラインであれば、授業に必要な教室、けいこ場のような空間も必要ない。地方からだって入学できる。コロナ禍で、オンラインを活用する社会の土壌が急速に熟成していますからね。そのあたりが巧みだなと思います」(前出・スポーツ紙芸能記者)

 先行する渡辺高等学院の次に、芸能界として高等学校を設立した吉本興業だが、4月開校にもかかわらず、この直前の時期での報道。出遅れ感もあるが、関係者はこう漏らす。

「いいんです、このタイミングで。この学校を第一志望に受験勉強をする人は、今年度に限ってはいないということですし、新しくできた学校が第一志望になるのは、どんな特化した学校でも、かなりの実績をつかんでからでしょう。これから全国各地で高校入試があり、そこでうまくいかなかった人の選択肢のひとつになればいいんです」

 お笑い芸人の卵を取り合う芸能プロダクションの養成所に、新たな開校、新たなスタイルが加わるこの春。中堅プロダクションが同様の学校の設立、同様のオンラインシステムを構築するには、人材的にも資金的にも追随が難しい“お笑い高校”を舞台に、将来のお笑い芸人の育成が始まる。

〈取材・文/薮入うらら〉