代役や10年ぶりの漫才、
リベンジに燃えた人たち

 2月7日に終了したNHK大河ドラマ『麒麟がくる』。不祥事で降板した沢尻エリカの代役に抜擢されたのは、時代劇初挑戦の川口春奈だった。

女優として評価が“爆上がり”の川口春奈
【写真】川口春奈と矢地祐介の「時間差匂わせインスタ」

 だが、2013年に初主演した連ドラ『夫のカノジョ』(TBS系)が低視聴率で打ち切りになるなど、数字が取れないイメージもあり、荷が重く感じられたものだ

 それがふたを開けてみると、大好評。織田信長の妻・帰蝶として黒幕的な役割も堂々と演じ、ネットでは「帰蝶P」とも呼ばれた。実はこの人、SNSで一般人の盗み撮りについて、

《みんなはどうかわからないけどわたしはそれは嫌なんだよな。すごくすごくすごくすごくね》

 と異議申し立てをするほど、強気な性格。そこが、ピタリとはまったのだろう。コロナ禍によるスケジュールのズレで、放送再開後は出番が減ったが、視聴者からは「待望論」が飛び出し、23日放送の総集編ではナレーターを務めることに。まさしく、女優としての下克上に成功したといえる。

 その川口も出演したドラマ『教場』シリーズ(フジテレビ系)で失地回復を果たしたのが木村拓哉。SMAPの解散では分裂状態を招いた戦犯のように見られ、好感度を下げたが、警察学校の謎めいた鬼教官という主人公をオーラたっぷりに演じ、さすがキムタクという評価を取り戻した。

 リベンジにはやはり、本業で結果を出すことが近道なのだ。

 お笑いでは、一昨年、アンタッチャブルが10年ぶりに漫才を披露し、コンビ活動を再開した。2010年に柴田英嗣が女性問題で騒がれ、1年間謹慎したのを機に、別々で活動してきたが『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)で共演が実現。柴田にとってはまったくのサプライズだった。

 そのため、相方の山崎弘也が登場して漫才が始まっても、引け目のある柴田は途中で切り上げようとしたが─。山崎が、

「いやいやいや、まだ終われませんから」

 と制止。最後までやりきったのだ。この「まだ終われません」には、コンビ復活を待ちわびた山崎の10年分の思いがこめられていたのだろう。笑えて泣ける名場面だった。

 そして、お笑い界史上最大のリベンジに成功したのが有吉弘行。1996年に森脇和成とのコンビ・猿岩石として大ブレイクし、歌でも大ヒットを飛ばしたが、解散後、一時は仕事がまったくない状態に陥った。

 そこから、ピン芸人として、あだ名をつける芸で再浮上。さらに、バラエティー番組のMCとしてトップクラスにまで上りつめた。特に『有吉の壁』(日本テレビ系)では、芸人たちのさまざまなネタを褒めたりけなしたりしながら、それも笑いにしてしまうという、かつてのビートたけしみたいなことをやっている。

 実は、たけしと有吉は似ていて、それは地獄を見てきたということ。たけしはバイク事故でまさに死にかけたが、ただ、仕事が途切れることはなかった。低迷期に「自殺しようかな……と思っていました」という有吉のほうがむしろ、芸人として死に近い場所をさまよったともいえる。

 そんなところから倍返し以上のリベンジを果たした有吉。その奇跡こそが、芸人たちから一目も二目も置かれるゆえんだ。