相続するために、こんな書類をチェック!

 夫にもしものことがあった場合、残された家族はその後の手続きに追われる。葬儀や火葬の手配、役所への届け出などがあわただしいことは多くの人がご存じのとおり。そして、想像以上に大変なのが相続財産の名義変更や相続税の申告手続き

 預貯金、株などの有価証券、不動産などは名義変更をしないと相続人のものにはならない。そして名義変更をするには、各種書類が必要になる。その際、遺言書がなければ、法定相続人全員の同意とそれを示す書類(遺産分割協議書)も必要に!

「故人がどんな財産があるのか、家族にまったく明かしていない場合は大変です。預金通帳や金融機関からのお便りなどがあればいいのですが、ネット口座はペーパーレスですから、家族が口座の存在に気づかない場合もあります。相続税を申告した後で税務署に見つかったりすると、修正申告などが必要になることも」

 さらにやっかいなのが、借金の存在を隠していた場合。

「故人が借金を抱えていた場合は、相続人が返済義務を負うことになります。借金が莫大な場合は、死後3か月以内に“相続放棄”の手続きをしないと大変なことに……。財産を相続してしまってから借金の存在がわかった場合は、相続放棄できないので注意してください」

 家族を困らせないために、まずは今から財産と借金、そして相続人をリストアップしておくこと! そして遺言書を書いてもらうのがおすすめ。名義変更の際の手間や必要書類がぐっと減る。

《チェックすべき書類など》

■銀行の預貯金

通帳】……口座の名義変更に利用。

定期預金証書】……定期預金の名義変更に利用。

貸金庫の鍵】……貸金庫を開ける際、相続人全員の同意と立ち会いが必要な場合も。財産の重要書類を入れている場合は、貸金庫を利用していることを家族に伝えておく。

■自宅、その他の不動産、株式など

取引報告書】……株や投資信託の名義変更の際、どの金融機関と取引していたか知る手がかりとなる。仮想通貨など取引報告書が発行されないネット取引などについては、取引所やログインID、パスワードなどを書いて保管し、そのありかを家族に伝えておく。

登記済証】……相続の手続きの際に、所有している不動産をきちんと把握するために必要。

不動産売買契約書】……不動産を売却した際、所得税の申告のために必要。

固定資産納税通知書】……故人がどんな不動産を所有しているかを知る手がかりになる。