ここは確実に! 重要書類ベスト5

【1】家に関する書類
 自宅を登記したときに発行される「登記済証」(’05年からは「登記識別情報通知」)のほか、固定資産税納税通知書などをもとに、どんな不動産を所有しているのかきちんと確認しておくこと。

【2】金融資産の書類
 夫婦それぞれの通帳や定期預金証書など。株や投資信託に投資している場合は、取引している金融機関名、支店名、口座番号なども書き出しておきましょう。ネット取引している場合は、金融機関名、ログインIDやパスワードも忘れずに。

【3】生命保険の書類
 保険証券を探し出し、保険金の受取人を確認。独身時代に親を受取人に指定してそのままになっている場合は、希望する家族名に変更しておきます。保険証券は、すぐ請求できるよう家族に保管場所を知らせます。

【4】借金の書類
 金融消費賃借契約書など、お金を借りている相手や借りている内容がわかるもので確認しておきます。金額が資産の額より大きい場合は、夫が万一の際には死後3か月以内に相続放棄の手続きをするよう、親きょうだいにも伝えておきましょう。

【5】財産目録
 不動産、預貯金、株式や投資信託、保険、借金などをリストアップ。それぞれの取引先なども書き出して、家族がわかる場所に保管してもらいます。ネット取引ならIDやパスワードを書き出し、金庫などに保管。

意外と大変! 夫の死後の名義変更

 故人の財産は故人の名義のままだと、いくら家族でも勝手に使うことができません。遺言書や遺産分割協議の内容に従って、きちんと名義変更の手続きをすませることが必要です。

■預貯金の名義変更
 銀行口座の名義を変更する、あるいは預貯金を払い戻してもらう。その際、ほかの支店に口座がないか、定期預金がないかなども確認してもらう。必要書類は遺言書の有無によって、また銀行によっても異なる。

【遺言書がある場合の必要書類】
・遺言書+検認調書または検認済証明書(公正証書遺言以外の場合)
・故人の戸籍謄本または全部事項証明書(死亡が確認できるもの)
・預金を相続する人の印鑑証明書……など

【遺言書がない場合の必要書類】
・遺産分割協議書(法定相続人全員の署名・捺印があるもの)
・故人の除籍謄本・戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡まで連続したもの)
・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
・相続人全員の印鑑証明書

■不動産の名義変更
 自分ですることもできるが、多くの書類が必要なことから、司法書士などのプロに依頼する人も多い。自分で手続きする場合は、あらかじめ必要書類などについて法務局に相談しておくのがおすすめ。

【遺言書がない場合の必要書類】
・名義変更する不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
・故人の住民票の除票(本籍の記載があるもの)
・故人の出生から死亡時までの戸籍謄本すべてと除籍謄本
・相続人全員の現在の戸籍謄本
・遺産分割協議書+相続人全員の印鑑証明書……など

■株式の名義変更
 多くの場合、取引支店やコールセンターなどに連絡して、必要書類を提出。株式の名義を変更してもらう。

【遺言書がある場合の必要書類】
・遺言書と検認調書または検認済証明書(公正証書遺言以外の場合)
・故人の戸籍謄本または全部事項証明書(死亡が確認できるもの)
・相続する人の印鑑証明書……など

【遺言書がない場合の必要書類】
※預貯金の名義変更の遺言書がない場合と同様の書類が必要

(取材・文/鷺島鈴香)

《PROFILE》
曽根惠子 ◎(株)夢相続代表取締役。WEBメディア「家族をつなぐきずな倶楽部」を運営「相続実務士」の創始者として1万4600件の相続相談に対処。感情面、経済面に配慮した“オーダーメード相続”を提案している。