人畜無害で特徴なし
改善の鍵を握るは“女性”?

 受け手側が変わってきたこともあるが、出演陣の“体質”にも変化が。最近は強い発言をすれば叩かれ、発言しなければ忖度していると言われる始末。

「”MCやコメンテーターも言えないことが増えたり、そもそも意見を言わない人が増えましたよね。今は毒舌とか、そういうのも受け入れられない傾向にある。だから“毒”を吐く人もいないし、みんな当たり障りのない、害のない人ばかり。なのでどこも特徴がないんです。人畜無害だらけのワイドショーって、どうですか?(笑)。

 今、毒舌といえば坂上(忍)さんくらいじゃないですか。他番組がえげつなさを捨てていく中で、『バイキングMORE』だけはその方向でいこうぜって。ある意味、プライドを持ってやってると思う。昔はそういう、えげつなさや、毒ある発言も楽しみの一つでしたが、今はそれがウケる時代ではなくなってきたんだと思います

 実際、600人に聞いた「嫌いな司会者」アンケート(『週刊女性』2月2日号)では、『バイキングMORE』の坂上忍がぶっちぎりで1位だった。

 そんな中、『とくダネ!』のあと番組で3月29日から始まる『めざまし8』のMCに選出されたのは、谷原章介。それについて、吉田さんはこう深読みする。

ここで谷原さんを持ってくるあたりが、世の中、毒舌を求めてないってことじゃないですか。爽やかで穏やか。声だけ聞いてても、何となく“いいことを言っている”感じがする。でも、中身があることを言うかは別。だって芸能人の話はしづらいでしょうからね。例えば俳優が薬物で捕まっても、同じ俳優として当たり障りのないことしか言えないでしょうし。となると、他番組同様、あまり芸能ニュースも取り扱わなくなるのかなと思います」

 ひと昔前より、MC、そしてコメンテーターの顔ぶれも随分変わった。特に最近では、コメンテーターを務める芸人も増え、まさかフワちゃんやロンドンブーツ・田村淳など、バラエティーを得意とする芸人がニュースを扱う番組に朝から出演するなんて、思ってもなかったのではないだろうか。世間からは「ワイドショー芸人はいらない」という批判的な声も少なくないが……。

芸人さんの中でも、一歩抜きん出たコメント能力を発揮する人もいるじゃないですか。カズレーザーさんとか、ちょっと前はオリエンタルラジオの中田(敦彦)さんとかは頭もいいし、コメンテーターとしてはよかったんじゃないですかね。だから私は一概に芸人がダメってわけでもないと思う。どこの番組も同じようなネタを扱って、テレビ業界に盾をつかない人ばかり使っていたら、それこそつまらなくなるわけですから」

 ではワイドショーに、足りないもの。それはいったい何なのか。

女性がメインの番組って少なくないですか? 大下(容子)さんの番組くらいで。コメンテーターにいる、弁護士の萩谷麻衣子さんとか、脳科学者の中野信子さんは、聡明で非常に理論的、多少の毒を盛り込みながらも、私はこう思う、といった形で主張もできる。でもそういう女性はいつもサブポジションなんです。和田アキ子さんや上沼恵美子さんとか年配の方でもなく、ミドルエイジの女性がメインを張る番組が増えたら、新しいし面白いのかなって思います

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言が問題視され、女性の活躍の場が見直される昨今。ワイドショーに新たな風を吹き込む“キー”となるのは女性か、それともーー。